
副鼻腔炎による鼻の炎症や鼻づまりは、空気の通り道を狭め、いびきの直接的な原因となります。
いびきは、鼻から喉にかけての狭くなった部分を空気が通る際に、粘膜が振動して発生する音です。
そのため、副鼻腔炎といびきには密接な関係があり、鼻の状態を改善することがいびきの軽減につながります。

副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎になると、鼻の粘膜が腫れたり、粘り気のある鼻水が溜まったりします。
炎症が長引くと、鼻ポリープ(鼻茸)と呼ばれるキノコのようなできものができることもあります。これらが物理的に空気の通り道を塞いでしまうことが、口を閉じていても「グーグー」「ズーズー」といった音が鳴る「鼻いびき」の主な原因です。
鼻がつまると、無意識のうちに口呼吸するようになります。口呼吸で眠ると、喉の筋肉が緩み、舌の付け根が喉の奥に落ち込みやすくなります。その結果、上気道が狭くなり、ガーガーという大きな音を伴う喉いびきが発生します。
副鼻腔炎が原因で口呼吸が習慣化すると、鼻いびきと喉いびきの両方が起こる関係性も考えられます。
いびきは、睡眠中に気道が狭くなっているサインです。
副鼻腔炎による鼻づまりが重症化し、気道の閉塞がひどくなると、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を引き起こす可能性があります。
睡眠時無呼吸は、日中の強い眠気や集中力の低下だけでなく、高血圧や心疾患などの原因にもなるため、注意が必要です。
耳鼻咽喉科での根本治療と並行して、ご自宅でできるセルフケアを取り入れることで、いびきの症状を和らげることが期待できます。
ここでは、病院に行く前の応急処置としても有効な対策を4つ紹介します。
ただし、これらは対症療法であり、セルフケアを試しても症状が変わらない場合や、根本的にいびきを治したい場合は、早めに耳鼻科へご相談ください。
当院では原因に合わせた適切な治療法をご提案しています。

鼻うがいは、鼻の奥に溜まった膿や鼻水、アレルゲンなどを洗い流し、鼻の通りを良くする効果的な対策です。
体温程度に温めた生理食塩水を使い、市販の専用ボトルで片方の鼻からゆっくり流し込み、もう片方の鼻や口から出します。このとき、強く吸い込んだり、水道水をそのまま使ったりすると耳を痛める原因になるため注意が必要です。
※診療中に、「鼻うがいの容器は何が良いですか?」とご質問を受けることが度々あります。以前、別のブログ記事で鼻うがいの容器の比較を掲載しておりますので、容器購入前にご参照ください。
睡眠中の姿勢を工夫することも、いびき対策に有効です。
仰向けで寝ると、重力で舌が喉の奥に落ち込みやすく、気道を狭めてしまいます。
一方、横向き寝することで舌の落ち込みを防ぎ、気道が確保されやすくなるため、いびきの軽減が期待できます。
抱き枕などを使うと、自然に横向き寝の姿勢を保ちやすくなります。
市販の鼻腔拡張テープは、鼻づまりによるいびきの対策として手軽に試せる方法の一つです。
テープの反発力を利用して鼻の外側から鼻腔を物理的に広げ、鼻呼吸をサポートします。
効果を最大限に引き出すためには、説明書をよく読み、鼻の適切な位置にしっかりと貼ることが大切です。
皮膚がかぶれやすい方は、使用時間に注意しましょう。
空気が乾燥すると、鼻の粘膜が刺激されて腫れやすくなり、鼻づまりが悪化する原因になります。
特に冬場やエアコンの使用中は、寝室の湿度が下がりがちです。加湿器を使ったり、濡らしたタオルを部屋に干したりして、湿度を50~60%程度に保つ対策を心がけましょう。鼻粘膜の潤いを適切に保つことで、鼻呼吸が楽になります。
セルフケアで改善しない場合や、いびきを根本的に治したい場合は、原因である副鼻腔炎(蓄膿症)そのものを治療することが最も重要です。
耳鼻咽喉科では、症状が急に始まった「急性」か、長引いている「慢性」かなど、病状に合わせて適切な治療法を選択します。

副鼻腔炎の治療の基本は、薬物療法です。
細菌感染が原因と考えられる急性の副鼻腔炎には、抗生物質を処方して原因菌を抑えます。
また、アレルギー性鼻炎を合併している場合には、抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を用いて鼻の粘膜の炎症を鎮めます。
これにより鼻づまりが改善し、いびきの軽減につながります。
耳鼻咽喉科では、クリニックでの処置も行います。
専用の吸引器で鼻の奥に溜まった粘り気のある鼻水を吸い出したり、霧状にした薬剤を鼻の奥まで届けるネブライザー治療を行ったりします。
これらの処置は、鼻づまりを直接的に解消し、薬の効果を高めるため、症状の速やかな改善が期待できる治療です。
薬物療法を長期間続けても改善しない慢性副鼻腔炎や、大きな鼻ポリープがある場合には、手術が検討されます。
現在は「内視鏡下鼻副鼻腔手術」が主流で、鼻の穴から細いカメラと器具を挿入して行うため、顔に傷が残らず、体への負担が少ない治療です。
炎症を起こしている粘膜やポリープを取り除き、鼻の構造を改善することで、空気の通り道を確保します。
副鼻腔炎の治療後もいびきや無呼吸が続く場合は、他に原因がある可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を広げる「CPAP療法」という治療を行います。
また、軽症の場合には、下あごを前方に固定して気道を確保するマウスピースを作成する対策もあります。
なかの耳鼻科・美容皮ふ科では、いびきの原因となる副鼻腔炎の診断・治療はもちろんのこと、その背景に隠れている可能性のある睡眠時無呼吸症候群についても対応しています。
ご自宅で就寝時に指や鼻に簡単なセンサーを取り付けて行う簡易検査を実施しており、入院の必要なく睡眠中の呼吸状態を評価することが可能です。
いびきや無呼吸でお悩みの方は、根本的な原因治療からご相談ください。
ここでは、患者さんからよく寄せられる副鼻腔炎といびきの治し方に関する質問にお答えします。
ご自身の症状と照らし合わせながら、対策や治療の参考にしてください。
後鼻漏はいびきを悪化させる原因の一つです。
粘り気のある鼻水が睡眠中に喉に垂れ落ち、気道を狭めることでいびきの音が大きくなったり、咳き込んで睡眠の質を下げたりする関係があります。
副鼻腔炎の治療で後鼻漏が改善すれば、いびきの軽減も期待できます。
手術によって副鼻腔炎が改善し、鼻の通りが良くなれば、鼻づまりが原因のいびきは大幅に改善する可能性が高いです。
しかし、いびきの原因が肥満や骨格など他にもある場合、完全に治るとは限りません。
手術は鼻づまりを解消する有効な治療ですが、複合的な原因がある場合はいびきが残ることもあります。
「チクナイン」は、副鼻腔炎(蓄膿症)によって溜まった膿を出しやすくする漢方薬で、鼻づまりを和らげる効果が期待できます。
そのため、副鼻腔炎が原因のいびきに対する一時的な対策として症状が緩和される可能性はあります。
ただし、根本的な治療ではないため、症状が続く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
副鼻腔炎によるいびきは、鼻の空気の通り道が狭くなることが主な原因です。
自宅でできる対策として、鼻うがい、横向き寝、加湿などがありますが、根本的な改善には耳鼻咽喉科での専門的な治療が不可欠です。
薬物療法やクリニックでの処置、場合によっては内視鏡下鼻副鼻腔手術によって副鼻腔炎を治療することで、いびきの大幅な改善が期待できます。
いびきを放置すると睡眠時無呼吸につながるリスクもあるため、気になる症状があれば自己判断せず、ぜひ一度ご相談ください。
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