睡眠時無呼吸症候群の治療が受けやすくなりました

いびきは放置しないでください!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・検査・CPAP治療を耳鼻咽喉科専門医がわかりやすく解説

「いびき」は体からのSOSかもしれません

「いびきくらいなら大丈夫」と思っていませんか?

実は、いびきは睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)という病気のサインであることがあります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まることで、十分な睡眠がとれなくなる病気です。放置すると、高血圧や心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など全身の病気につながることが知られています。

さらに、小児では成長や集中力、学習にも影響を及ぼす可能性があります。

2026年の診療報酬改定では、CPAP治療の保険適応が拡大され、これまでより早い段階から治療を開始できるようになりました。

当院では、

・耳鼻咽喉科専門医による診察

・自宅でできる睡眠検査(簡易PSG)

・CPAP治療

・鼻づまり・扁桃肥大など原因に対する治療

まで一貫して行っています。


「いびきセルフチェックリスト」

□ 毎日いびきをかく

□ 家族から「呼吸が止まっている」と言われた

□ 朝起きても疲れが取れない

□ 寝ているのに体がだるい

□ 日中眠くなる

□ 高血圧や糖尿病がある

□ 肥満傾向を指摘された

□ 夜間に2回以上トイレに起きることがある

□ 子どものいびきが気になる

□ あごが小さい

□ CPAPが必要か相談したい

1つでも当てはまる方はご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。

医学的には「10秒以上呼吸が止まる状態」を無呼吸と呼び、この状態が繰り返されることで睡眠の質が低下します。

その結果、

・朝起きても疲れが取れない

・日中の強い眠気

・集中力や仕事の効率の低下

・起床時の頭痛

などの症状が現れます。

睡眠時無呼吸症候群では、「AHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)」という数値で重症度を評価します。AHIとは、1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起こるかを示す指標です。

世界では中等症以上(AHI15以上)の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者は約4億2,500万人、日本でも約900〜1,000万人いると推定されており、決して珍しい病気ではありません。

睡眠時無呼吸症候群は「睡眠の病気」であると同時に、「全身の健康に関わる病気」でもあります。

<成人と子どもでは原因が異なります

睡眠時無呼吸症候群は、大人と子どもでは原因が異なります。

成人で多い原因

・肥満

・鼻づまり

・加齢による筋力低下

・下あごが小さい

・飲酒

・睡眠薬

などが主な原因です。

特に鼻づまりがあると口呼吸になりやすく、いびきや無呼吸を悪化させます。

子どもで多い原因

・アデノイド肥大

・口蓋扁桃肥大

・アレルギー性鼻炎

・副鼻腔炎

が原因として多くなります。

「子どものいびきはかわいいから大丈夫」と思われがちですが、毎日のようにいびきをかく場合は、一度耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします。

放置すると全身の病気につながります

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何度も酸素不足を繰り返します。すると、心臓や血管に負担がかかり、さまざまな病気のリスクが高まります。

成人において代表的なものは、

・高血圧

・心筋梗塞

・脳卒中

・糖尿病

・心房細動

・日中の眠気による交通事故

です。

また、小児では

・成長への影響

・集中力の低下

・学習や行動への影響

が報告されています。

「いびきだけだから」と放置せず、原因を調べることが大切です。

耳鼻咽喉科だから「原因」まで調べられます

睡眠時無呼吸症候群というと、「CPAPで治療する病気」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

しかし、耳鼻咽喉科では「なぜ無呼吸が起こっているのか」という原因を詳しく調べることができます。

例えば、

・アレルギー性鼻炎

・鼻中隔弯曲症

・下鼻甲介腫脹

・鼻茸(鼻ポリープ)

・アデノイド肥大

・口蓋扁桃肥大

など、耳鼻咽喉科で治療できる病気が隠れていることがあります。

これらを治療することで、いびきや無呼吸が改善したり、CPAPがより使いやすくなったりする場合もあります。

そのため、当院では睡眠検査だけでなく、「原因の診断」を大切にしています。

自宅でできる睡眠検査(簡易PSG)

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まず、ご自宅で行える簡易睡眠検査(簡易PSG)をご案内しています。

以前は入院して検査を受けることが一般的でしたが、現在では多くの方が普段と同じ睡眠環境で検査を受けることができます。

検査方法はとても簡単です。

① ご自宅へ検査機器が届く

② 就寝前にセンサーを装着する

③ 普段どおり眠る

④ 翌日に返送する

検査では、呼吸の状態、酸素濃度、いびきの有無、無呼吸・低呼吸の回数などを調べます。

普段どおり眠るだけで検査できるため、多くの患者さんが安心して受けられています。

精密睡眠検査(PSG)が必要になることもあります

簡易PSGで診断が難しい場合や、より詳しい評価が必要な場合には、病院で一泊して行う終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)をご案内します(当院では検査可能な施設をご紹介いたします)。

PSGでは、脳波、呼吸、心電図、筋電図、酸素飽和度、睡眠の深さ、寝返りや体位などを測定し、睡眠時無呼吸症候群をより正確に評価します。

2026年診療報酬改定でCPAP治療の対象が広がりました>

2026年6月の診療報酬改定では、CPAP治療の保険適応が拡大されました❗️

これまでは

精密PSG検査:AHI20以上

簡易PSG検査:AHI40以上

が保険適応の目安でしたが、

現在は

精密PSG検査:AHI15以上

簡易PSG検査:AHI30以上

まで対象が広がっています。

これは、中等症の段階でも高血圧や心血管疾患、脳卒中などのリスクが高まることが多くの研究で示されてきたためです。

以前よりも早い段階から治療を開始できるようになり、健康へのメリットが期待されています。

睡眠時無呼吸症候群の治療

治療法は、原因や重症度に応じて選択します。

生活習慣の改善

軽症の方では、

・減量

・禁煙

・就寝前の飲酒を控える

などで症状が改善することがあります。

鼻づまりの治療

耳鼻咽喉科では、アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症、下鼻甲介腫脹など、鼻づまりの原因を治療します。

鼻づまりが改善すると、

・いびきが軽くなる

・CPAPが使いやすくなる

・睡眠の質が改善する

ことがあります。

CPAP(持続陽圧呼吸療法)

中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群では、CPAPが第一選択となります。

マスクから空気を送り、気道が閉じるのを防ぐ治療です。

CPAPによって、

・いびきの改善

・日中の眠気の改善

・睡眠の質の改善

・血圧の改善

などが期待できます。

マウスピース(口腔内装置)

軽症から中等症では、歯科で作製するマウスピースが有効なことがあります。下あごを前方に保持することで、気道を広げます。当院では作成できませんので、歯科で作製をお願いすることになります。

手術

原因が鼻づまりや扁桃肥大、アデノイド肥大などの場合には、手術によって改善が期待できるケースがあります。

特に小児では、アデノイド・口蓋扁桃摘出術が有効なことが多くあります。

当院では手術を行なっておりませんので、手術をしている施設をご案内いたします。

<当院での診療の流れ

① ご来院

② 耳鼻咽喉科専門医による診察

③ 鼻・のどの評価

(先に、鼻・のどの治療を優先するようにご案内することもございます)

④ 簡易PSG(ご自宅)

⑤ 結果説明

⑥ 原因に応じた治療
(生活習慣改善・鼻治療・CPAP・マウスピース・手術)

最後に…>

睡眠時無呼吸症候群は、単なる「いびき」の問題ではなく、全身の健康に影響を及ぼす病気です。しかし、適切な検査と治療により、睡眠の質や日中の眠気、生活の質(QOL)の改善が期待できます。

耳鼻咽喉科では、睡眠検査だけでなく、鼻づまりや扁桃肥大など「原因」まで詳しく評価できることが大きな特徴です。

「いびきくらい」と思わず、気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

<参考文献>

Benjafield AV, Ayas NT, Eastwood PR, et al. Lancet Respir Med. 2019.

Peppard PE, Young T, Palta M, et al. N Engl J Med. 2000.

Marin JM, Carrizo SJ, Vicente E, et al. Lancet. 2005.

Yaggi HK, Concato J, Kernan WN, et al. N Engl J Med. 2005.

Marcus CL, Brooks LJ, Draper KA, et al. Pediatrics. 2012.

Kapur VK, Auckley DH, Chowdhuri S, et al. J Clin Sleep Med. 2017.

Patil SP, Ayappa IA, Caples SM, et al. J Clin Sleep Med. 2019.

日本睡眠学会. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会. 睡眠時呼吸障害診療の手引き

2026年06月27日