アナフィラキシーの新しい治療薬「ネフィー®︎」

皆さん、アナフィラキシー発症時の新たな治療薬ネフィー®︎をご存知でしょうか。

ネフィーの説明の前に、再確認のために簡単にアナフィラキシーについて説明します。

〜アナフィラキシーについて〜

<病態・原因>

アレルゲン(原因物質)等が体内に入ってきた際に、急激な全身的なアレルギー症状を起こしてしまい、命に関わり得る過剰な反応のことをアナフィラキシーと言います。そのアナフィラキシーの結果、血圧低下・意識障害等を伴っているものをアナフィラキシーショックといいます。

アレルゲンとして、食物・ハチなどの昆虫刺傷・薬剤などがありますが、国内では食物が原因物質として圧倒的に多いです。

<症状>

皮膚・粘膜症状(全身の発疹・痒み・浮腫など)、呼吸器症状(呼吸困難・気道狭窄など)、循環器症状(血圧低下・意識障害など)、消化器症状(腹痛・嘔吐など)など

<治療>

アドレナリン投与(第一選択)、酸素投与、点滴など

治療で第一選択となっているアドレナリン投与ですが、全世界で多くのデータがあり、全身の循環動体を改善させたり、入院のリスクを減らしたりと報告されています。その投与方法として筋肉注射になります。しかし、その「注射」という点から必要時に躊躇いから治療介入が遅れているとの報告が多数あります。

今回はその「注射」ではなく、新たに「点鼻(鼻へのスプレー)」タイプのネフィー®︎というアナフィラキシー治療薬が日本でも販売されました。 現時点で分かっているネフィー®︎とアドレナリン筋肉注射のエピペン®︎の比較を簡単にまとめてみました。

 ネフィー®︎エピペン®︎
主成分アドレナリンアドレナリン
投与経路鼻腔内噴霧(鼻粘膜吸収)筋肉注射(筋肉内吸収)
用量30kg未満 1回1mg(15kg以上)
30kg以上 1回2mg
30kg未満 1回0.15mg(15kg以上)
30kg以上 1回0.3mg
投与間隔10分以上あける
再投与は同一鼻腔
5-15分間隔
(通常1-2回で効果あり)
再投与は対側大腿
(もしくは1回目の穿刺部位から5cm以上間隔をあける)
効果発現エピペンと同等
(鼻疾患の有無によって薬剤吸収に影響がある可能性も)
迅速
血中濃度やや個人差ある
(エピペン同等かそれ以上という報告も)
再現性が高い
ガイドラインでの位置付け
(現時点)
現時点では補助的
(今後のデータの蓄積しだいで変わりうる)
筋肉注射が第一選択
誤使用リスク比較的少ない針刺し事故報告あり
誤使用の報告あり
治療介入遅れのリスク比較的少ないことが予想される多数の使用遅れの報告あり
注射そのものへの躊躇い
アナフィラキシーでの死亡例や使用すべき例で使用されていない報告あり
薬事承認2025年9月
(2026年2月販売開始)
2011年保険適応

まだまだ実臨床でのデータは少なく、今後のデータ蓄積が必要だとは思います。 いずれにしても、必要な患者さんに必要なタイミングで、適切に治療介入ができれば良いですね。

尚、当院では現時点では処方しておりません。

2026年03月05日