
補聴器を使い始めてから、
「耳垢が増えた気がする」
「補聴器の音が小さくなった」
と感じることはありませんか?
補聴器の使用は、耳垢の詰まりや聞こえのトラブルと密接に関係しています。
放置すると、聞こえが悪化するだけでなく、耳垢が耳の奥で固まってしまう「耳垢栓塞」や補聴器の故障につながることもあります。
この記事では、補聴器で耳垢がたまりやすくなる原因と、ご自宅でできる正しい掃除方法、専門家によるメンテナンスの重要性について解説します。
この記事でわかること
・ 補聴器の使用によって耳垢が詰まりやすくなる仕組み
・ 故障を防ぐための自宅でできる補聴器の清掃・保管方法
・ セルフケアの限界と、耳鼻咽喉科での耳の確認や補聴器相談の重要性
補聴器の使用が耳垢の詰まりを招きやすくなるのには、明確な理由があります。
耳の構造と補聴器の特性が組み合わさることで、耳垢が自然に排出されにくい環境が作られてしまうのです。
主な原因として、「自浄作用の妨げ」「湿気による固着」「加齢の影響」の3つのポイントが挙げられます。
これらの仕組みを理解することが、適切な対策への第一歩となります。

私たちの耳には、本来「自浄作用」という優れた仕組みが備わっています。
これは、耳の穴の皮膚が入り口に向かって少しずつ移動し、古い皮膚や耳垢を自然に外へ運び出す働きのことです。
しかし、補聴器を装用すると、耳の穴に物理的な「フタ」をすることになり、この自浄作用による耳垢の排出が妨げられてしまいます。
毎日長時間にわたって補聴器で耳を塞ぐことで、耳垢が外に出られずに内部に蓄積しやすくなるのです。
補聴器で耳の穴を密閉すると、内部の通気性が悪くなり、体温によって温度と湿度が上昇します。
この蒸れた環境は、耳垢に大きな影響を与えます。
耳垢が湿気を吸うことで柔らかくなり、粘り気が出て固まりやすくなるのです。
特に、カサカサした乾性耳垢の方でも、蒸れによって耳垢が湿っぽく感じられることがあります。
元々耳垢がベタベタしている湿性耳垢の方は、この影響をさらに受けやすく、補聴器や耳の穴に耳垢が付着・固着しやすくなります。
補聴器を使用する方の多くは、加齢による難聴を抱えています。
年齢を重ねると、耳の自浄作用そのものが少しずつ低下する傾向があります。
皮膚の新陳代謝が遅くなったり、耳の周りの筋肉や顎を動かす力が弱まったりすることで、耳垢を外へ押し出す力が衰えるのです。
補聴器による物理的な妨げに加えて、こうした加齢に伴う身体的な変化が重なることで、さらに耳垢がたまりやすい状態になると考えられています。
補聴器に付着した耳垢の詰まりを「少しだから大丈夫」と放置してしまうと、聞こえの問題や補聴器本体の故障といった深刻なトラブルにつながる可能性があります。
耳垢は単なる汚れではなく、補聴器の性能を著しく低下させ、最終的には高価な機器の修理や買い替えが必要になる原因にもなり得ます。
ここでは、耳垢詰まりが引き起こす代表的な2つのトラブルについて解説します。
補聴器のトラブルで最も多いのが、耳垢による音の出口の詰まりです。
補聴器の先端部分には、音を出すための非常に小さな穴(音孔)があります。
ここに耳垢が詰まってしまうと、音の通り道が塞がれ、音が小さくこもって聞こえたり、最悪の場合は全く聞こえなくなったりします。
「最近、補聴器の聞こえが悪い」と感じる原因の多くは、この耳垢の詰まりによるものです。
電池を交換しても改善しない場合は、まず音の出口の詰まりを疑う必要があります。
耳垢には水分や油分が含まれており、特に湿性耳垢の場合はその量が多くなります。
この湿気を含んだ耳垢が補聴器の音の出口から内部に侵入すると、レシーバー(音を出す部品)やマイクといった精密な電子部品にダメージを与え、故障を引き起こす原因となります。
湿気はサビや腐食を招き、補聴器の寿命を縮めてしまいます。
一度内部が故障すると簡単な掃除では元に戻らず、高額な修理費用がかかることもあるため、日頃からの対策が重要です。
補聴器の性能を維持し、長く快適に使い続けるためには、毎日の簡単なお手入れが欠かせません。
一日の終わりに使用した補聴器を掃除する習慣をつけることで、耳垢によるトラブルの多くは予防できます。
専門的な知識がなくても、付属の道具を使って誰でも簡単に行える基本的なお手入れ方法を紹介します。

補聴器に付属している専用の小さなブラシを使って、音の出口(音孔)や、耳の蒸れを防ぐための空気穴(ベント)に付着した耳垢を優しくかき出します。
このとき、重要なポイントは、音の出口を下に向けることです。
上向きのまま掃除をすると、取り除いた耳垢が補聴器の内部に入り込んでしまう恐れがあります。
必ず下に向けて、耳垢が自然に落ちるように掃除を行いましょう。
力を入れすぎず、そっと払うようにするのがコツです。
ブラシでの掃除が終わったら、乾いた柔らかい布(メガネ拭きなど)で補聴器の本体全体を優しく拭きます。
補聴器には、耳垢だけでなく、汗や皮脂、整髪料なども付着しています。
これらの汚れを放置すると、本体の変色や劣化、故障の原因になります。
一日の終わりにさっと拭き取るだけで、補聴器を清潔に保つことができます。
アルコール成分を含むウェットティッシュなどは、プラスチック部分を傷める可能性があるため使用は避けてください。
毎日のお手入れの仕上げとして、就寝中は補聴器を専用の乾燥ケースに入れて保管しましょう。
日中の装用で補聴器内部にたまった湿気をしっかりと取り除くことが、故障を防ぐ上で非常に重要です。
乾燥ケースには、乾燥剤を使用するタイプや、電気で温風乾燥と紫外線除菌を同時に行うタイプなどがあります。
この一手間を加えることで、湿気による内部部品のサビや腐食を防ぎ、補聴器の寿命を延ばすことにつながります。
補聴器の掃除とあわせて、ご自身の耳の掃除も気になるかもしれません。
しかし、良かれと思って行っている耳掃除が、かえって耳垢を奥に押し込み、耳垢栓塞(じこうせんそく)というトラブルを引き起こす原因になることがあります。
耳の健康を守るためには、安全なセルフケアの範囲を知り、やりすぎないことが大切です。
ここでは、耳掃除に関する注意点を解説します。
綿棒や耳かきを耳の奥まで入れて掃除すると、耳垢をきれいに取り除いているように感じられるかもしれません。
実際には多くの耳垢を鼓膜の方向へと押し込んでしまう危険性があります。
これを繰り返すことで、耳垢が奥で固まり、耳の穴を完全に塞いでしまう「耳垢栓塞」という状態を招くことがあります。
耳垢栓塞になると、難聴や耳の詰まり感、耳鳴りなどの症状が現れ、自分で取り除くことは困難になります。
ご自宅で安全に耳のケアを行う場合は、耳の奥には触れないことが原則です。
お風呂上がりなどに、湿らせたガーゼやタオルで耳の入り口から見える範囲の汚れを優しく拭き取る程度にとどめましょう。
耳の穴の中は非常にデリケートな皮膚で覆われており、少しの刺激でも傷がつき、外耳炎などの炎症を引き起こす可能性があります。
無理に奥まできれいにしようとせず、自然に出てくる耳垢を拭うだけで十分です。
日々のセルフケアは非常に重要ですが、それだけでは万全とは言えません。
耳の中の状態や耳垢の詰まり、聞こえの変化が気になる場合は、耳鼻咽喉科で耳の状態を確認することが大切です。
また、補聴器についても、試聴や調整、装用後のフォローを受けながら、聞こえの状態に応じて見直していくことが快適な使用につながります。
耳の奥まで詰まった耳垢は、ご自身で取り除こうとすると危険なため、医療機関でのケアが必要です。
耳鼻咽喉科では、専門の器具と顕微鏡や内視鏡を使い、耳の奥の皮膚や鼓膜を傷つけることなく安全に耳垢を取り除くことができます。
特に耳垢が固まってしまった耳垢栓塞の場合は、必ず耳鼻咽喉科を受診してください。
また、定期的に受診することで、耳垢の除去だけでなく、外耳炎や中耳炎といった耳の病気がないかどうかのチェックも受けられます。
補聴器は、ご自宅でのお手入れに加えて、必要に応じて点検や調整を受けることが大切です。
なかの耳鼻科の補聴器外来では、聴力検査から補聴器の試聴・相談、装用後の調整やフォローまで行っており、補聴器に耳垢が詰まっていないかなどのメンテナンスのためにも、定期的な受診をおすすめしております。
聞こえ方や使い心地は時間とともに変わることがあるため、その都度状態を確認しながら見直していくことが快適な使用につながります。
補聴器の悩みは、聞こえの問題だけでなく、耳垢や耳の炎症など、医学的なケアが必要な場合も少なくありません。
当院では補聴器外来を行っており、聴力検査、補聴器の試聴・相談、装用後の調整やフォローまで、専門スタッフと連携しながらサポートしています。
聞こえの状態を確認しながら、耳垢が詰まっていないか、耳の中にトラブルがないかも含めて定期的に見ていくことが大切です。
耳と補聴器の両面から相談しやすいのが、耳鼻咽喉科の強みのひとつです。
補聴器と耳垢について、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
補聴器で耳の中が密閉され、蒸れやすくなるためです。
耳の穴の温度と湿度が上がることで、乾燥していた耳垢も水分を含み、湿った質感に変化することがあります。
特に異常ではありませんが、湿った耳垢は補聴器に付着しやすくなるため、毎日のお手入れがより重要になります。
毎日の装用後に行うのが理想的です。
一日の終わり、補聴器を外した際に、ブラシで音の出口の耳垢を払い、乾いた布で全体を拭く習慣をつけましょう。
これにより、耳垢が固着して取れにくくなるのを防ぎ、故障のリスクを大幅に減らすことができます。
まず補聴器の音の出口を確認し、ブラシで優しく掃除をしてください。
それでも改善しない場合は、耳の奥に耳垢が詰まっている「耳垢栓塞」の可能性があります。
無理に自分で取ろうとせず、耳鼻咽喉科を受診して、安全に耳垢を取り除いてもらいましょう。
補聴器を使用すると、耳の自浄作用が妨げられたり、耳の中が蒸れたりすることで、耳垢がたまりやすくなります。
この耳垢を放置すると、聞こえの悪化や補聴器の故障につながるため、毎日のお手入れが欠かせません。
自宅での簡単なお手入れを習慣にするとともに、耳の中の状態や聞こえの変化が気になる場合は、耳鼻咽喉科で定期的に相談することが大切です。
特に、ご自身での耳掃除は耳垢を奥に押し込むリスクがあるため、耳の入り口を拭う程度にとどめ、奥の掃除は専門医に任せましょう。
当院では、耳の状態の確認、聴力検査、補聴器の試聴・相談、装用後の調整やフォローを行っています。補聴器の聞こえ方や耳垢の詰まりが気になる場合は、お気軽にご相談ください。
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