
花粉の季節でもないのに、くしゃみや鼻水、鼻づまりが一年中続いていませんか。
その不調は、単なる風邪ではなく「通年性アレルギー性鼻炎」かもしれません。
通年性アレルギー性鼻炎とは、ダニやハウスダストなどが原因となり、季節を問わずアレルギー症状を引き起こす病気です。
この記事を読めば、ご自身の鼻炎の原因を特定する方法を理解し、症状を和らげるための生活環境の整え方や、自分に合った最適な治療法を選択できます。
通年性アレルギー性鼻炎は、その名の通り、季節に関係なく一年を通じて症状が現れるアレルギー性の鼻炎です。
原因となるアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)が、年間を通して身の回りに存在するために起こります。
一方で、スギやヒノキなどの花粉が原因で特定の時期だけに症状が出るものは「季節性アレルギー性鼻炎」、いわゆる花粉症と呼ばれ区別されます。
通年性アレルギー性鼻炎の症状を引き起こす主な原因は、私たちの生活空間に常に存在するアレルゲンです。
特に室内環境に潜んでいることが多く、日々の生活習慣が症状に大きく影響します。
原因を正しく理解し、対策を講じることが症状緩和の第一歩です。

通年性アレルギー性鼻炎の最も多い原因は、室内に生息するダニです。
特にチリダニのフンや死骸がアレルゲンとなりやすく、これらは非常に小さいため空気中に舞い上がり、吸い込んでしまうことでアレルギー反応を引き起こします。
ダニは高温多湿を好み、人のフケやアカをエサにするため、寝具、カーペット、布製のソファ、ぬいぐるみなどに多く潜んでいます。
ハウスダストとは、室内のホコリの中でも特に1mm以下の肉眼では確認しにくい微細な物質を指します。
これは単なるホコリではなく、ダニのフンや死骸、カビ、細菌、人のフケ、ペットの毛やフケ、繊維くずなどが混ざり合ったものです。
これらの様々な物質がアレルギーの原因となり、鼻炎症状を引き起こします。
室内に発生するカビの胞子も、通年性アレルギー性鼻炎の原因となります。
カビは湿気が多く、栄養分となる汚れがある場所を好むため、エアコンの内部、浴室、キッチン、結露しやすい窓際などで繁殖しやすい傾向があります。
カビの胞子は非常に軽いため、エアコンの風などで室内に飛散し、吸い込むことでアレルギー症状が現れます。
犬や猫などのペットを飼っている場合、その毛やフケ、唾液、尿などもアレルギーの原因となり得ます。
アレルゲンは毛そのものだけではなく、皮膚から剥がれ落ちるフケや、乾燥した唾液などに含まれています。
これらが空気中に舞い上がり、吸い込むことで症状が誘発されるため、室内でペットと暮らしている場合は注意が必要です。
一年中続く鼻の不調は、原因が分からず対処に困ることがあります。
ここでは、通年性アレルギー性鼻炎の代表的な症状と、症状が似ている風邪や花粉症との見分け方について解説します。
ご自身の症状と照らし合わせて、原因を探るための参考にしてください。

通年性アレルギー性鼻炎の主な症状は、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」の三つです。
特に、起床時に連続してくしゃみが出たり、水のようにサラサラとした鼻水が止まらなくなったりすることが特徴です。
また、両方の鼻が交互に、あるいは同時に詰まる鼻づまりにも悩まされます。
これらの症状は、アレルゲンに触れる機会や環境によって症状の強弱があるのが特徴です。
通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)は、アレルギーが原因である点は共通していますが、症状の現れ方に違いがあります。
最大の違いは症状の持続期間です。
花粉症は特定の花粉が飛ぶ季節に限定して症状が悪化しますが、通年性アレルギー性鼻炎は年間を通じて症状が続きます。
また、花粉症は目のかゆみや充血を伴うことが多いのに対し、通年性では鼻症状が中心となる傾向があります。
風邪はウイルス感染によって起こるため、発熱、喉の痛み、全身の倦怠感、関節痛などを伴うことが一般的です。
一方、アレルギー性鼻炎ではこれらの全身症状はほとんど見られません。
また、鼻水の状態も異なります。
アレルギー性鼻炎の鼻水は透明でサラサラしていますが、風邪の場合は初期は透明でも、次第に黄色っぽく粘り気のある鼻水に変化することがあります。
ただし、アレルギー性鼻炎を放置して鼻が弱っていると、風邪をひきやすくなるという悪循環もあるため、症状が長引く場合は自己判断せず受診をおすすめします。
通年性アレルギー性鼻炎は、命に関わる病気ではないため、「いつものこと」と軽視されがちです。
しかし、慢性的な鼻の炎症を放置すると、他の病気を引き起こしたり、日常生活に深刻な影響を及ぼしたりする可能性があります。
ここでは、鼻炎が引き起こす可能性のある代表的な合併症について解説します。
アレルギー性鼻炎と気管支喘息は、どちらも気道のアレルギー性炎症であり、密接な関係があります。
鼻の炎症を放置すると、アレルギー反応が鼻から気管支へと広がり、気管支喘息を発症するリスクが高まることが知られています。
アレルギー性鼻炎の患者さんのうち、20〜30%が喘息を合併しているとの報告もあり、適切な鼻炎治療が喘息の予防にもつながります。逆に、喘息の人の60〜70%がアレルギー性鼻炎を合併しているという報告もあります。(Bousquet J, et al. Allergy. 2008、Leynaert B, et al. J Allergy Clin Immunol. 2000、Ohta K, et al. Allergy. 2011など)
鼻の粘膜の炎症が長期間続くと、鼻の奥にある副鼻腔という空洞にまで炎症が及ぶことがあります。
これにより、副鼻腔に膿がたまる「副鼻腔炎(ちくのう症)」を併発する可能性があります。
副鼻腔炎になると、粘り気のある色のついた鼻水、鼻づまり、頭痛、顔面痛、嗅覚の低下といった症状が現れ、治療がさらに複雑になります。
慢性的な鼻づまりは、睡眠中の鼻呼吸を妨げ、口呼吸の原因となります。
口呼吸で眠ると、喉の奥が狭くなりやすいため、大きないびきをかきやすくなります。
さらに症状が進行すると、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」を引き起こしたり、悪化させたりする危険性があります。
睡眠の質の低下は、日中の強い眠気や集中力欠如につながります。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状は、仕事や勉強への集中力を著しく低下させます。
また、鼻づまりによる睡眠不足は、日中の眠気や倦怠感、判断力の低下を招き、日常生活の質を大きく損ないます。
特に学童期の子どもの場合、学業成績に影響を及ぼす可能性も指摘されており、軽視できない問題です。
通年性アレルギー性鼻炎の症状をコントロールするためには、薬による治療と並行して、原因となるアレルゲンを生活環境からできるだけ取り除く「アレルゲン除去」が非常に重要です。
ここでは、日常生活の中で実践できる具体的な対策を、「掃除」「寝室」「室内環境」の3つのポイントに分けて解説します。
ダニやハウスダストを効果的に減らすには、掃除の仕方にコツがあります。
まず、掃除機は週に2回以上、1平方メートルあたり20秒以上かけることを目安に、ゆっくりと動かしましょう。
フローリングの場合は、掃除機をかける前にフロアワイパーでホコリを取り除くと、排気でハウスダストが舞い上がるのを防げます。
カーペットやソファなど、布製品は特に念入りに掃除することが大切です。
人は一日の約3分の1を寝室で過ごすため、寝室環境の整備は特に重要です。
寝具は、ダニが通過できない高密度の繊維で作られた防ダニ仕様のカバーやシーツを選ぶのが効果的です。
シーツや枕カバーは週に1回以上、55℃以上のお湯で洗濯すると、生きているダニを死滅させることができます。
また、布団は定期的に天日干しや布団乾燥機にかけ、湿気を取り除くことを心がけましょう。
ダニやカビは、高温多湿(25〜30℃、60〜80%)の環境で繁殖しやすくなります。
室内の湿度は50%前後を保つように心がけましょう。
加湿器の使いすぎには注意し、除湿機やエアコンのドライ機能を活用して湿度をコントロールします。
また、1日に1〜2回、窓を開けて部屋の換気を行うことも重要です。
空気清浄機の使用も、空気中に浮遊するアレルゲンを除去するのに役立ちます。
セルフケアや市販薬で症状が改善しない場合は、耳鼻咽喉科を受診し、正確な診断に基づいた治療を受けることが大切です。
医療機関では、アレルギーの原因を特定するための検査を行い、日本鼻アレルギー診療ガイドラインなどを参考にしながら、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた最適な治療法を提案します。
ここでは、耳鼻咽喉科で行われる代表的な診断と治療について解説します。
まず、問診や鼻の中の診察に加え、何がアレルギーの原因(アレルゲン)になっているかを特定するためのアレルギー検査を行います。
最も一般的なのは血液検査で、ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットのフケなど、様々なアレルゲンに対する特異的IgE抗体の量を調べることができます。
これにより、原因アレルゲンを特定し、より効果的な対策を立てることが可能になります。
アレルギー症状があるにもかかわらず、血液検査でアレルギー反応が陰性だったという経験はありませんか。
それは「局所性アレルギー性鼻炎(LAR)」かもしれません。
これは、血液中ではアレルギー反応が検出されないものの、鼻の粘膜局所でアレルギー反応が起きている状態です。
当院では、鼻水を採取してアレルギー反応に関わる細胞(好酸球)の有無を調べる「鼻汁好酸球検査」を行っており、LARの可能性を推察することができます。
検査で陰性でも、諦めずにご相談ください。
アレルギー性鼻炎の治療の基本は、症状を抑える薬物療法です。
主に、くしゃみや鼻水を抑える「抗ヒスタミン薬」や、鼻づまりを改善する「抗ロイコトリエン薬」などの内服薬が用いられます。
また、鼻の粘膜の炎症を強力に抑える「鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)」も非常に効果的で、多くのガイドラインで推奨される治療法です。
市販薬もありますが、医師の診断のもとで処方される薬の方が、よりご自身の症状に適した効果が期待できます。
薬を飲んでも鼻づまりが改善しない方には、鼻粘膜焼灼術(レーザー治療)という選択肢があります。
これは、レーザーを使ってアレルギー反応の場である鼻の粘膜(下鼻甲介)を焼灼する治療法です。
粘膜を変性・収縮させることで、鼻の通りを良くし、アレルギー反応が起きにくくする効果が期待できます。
特に鼻づまりが強い方におすすめの治療で、保険適用で受けることができます。
アレルギー症状を抑えるだけでなく、アレルギー体質そのものを改善し、根本的な治癒を目指す治療法が「舌下免疫療法」です。
これは、原因となるアレルゲンのエキスを少量ずつ舌の下に投与し、体をアレルゲンに慣らしていく治療です。日本においては2026年8月現在ではスギ花粉とダニにしか適応はありません。
治療には3年以上の長期間が必要ですが、治療終了後も長期間にわたって効果が持続することが期待でき、アレルギー薬を減らしたり、不要になったりする可能性があります。
ここでは、通年性アレルギー性鼻炎について患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
治療法や他のアレルギーとの関係について正しく理解し、ご自身の症状管理に役立ててください。
舌下免疫療法は、アレルギー体質を改善する根本的な治療法ですが、すべての方が「完治(薬が不要になる)」するわけではありません。
臨床試験では、約2割の方が薬の必要がなくなり、約6割の方が症状改善により薬を減量できたと報告されています。
残念ながら約2割の方には効果が見られませんでしたが、多くの患者さんで症状の軽減や生活の質の向上が期待できる治療です。
はい、併発することは珍しくありません。
ダニやハウスダストを原因とする通年性アレルギー性鼻炎の方が、スギやヒノキなどの花粉にもアレルギー反応を示し、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)を併発するケースは多く見られます。その場合、一年中続く症状が花粉の飛散時期にさらに悪化するという特徴があります。
感作率でみてみると、花粉症の患者さんの成人約半数、小児の約80%が通年性高原(ダニ・ハウスダスト)に感作していたという報告もあります。
(Ohki M, et al. Int J Otolaryngol. 2014、Sakashita M, et al. Allergol Int. 2021などなど)
子どもの場合、慢性的な鼻づまりによる口呼吸が、歯並びや顎の発達に影響を与えることがあります。
また、鼻炎症状による集中力の低下が学業に影響したり、睡眠不足が成長に影響を及ぼしたりする可能性も指摘されています。
気になる症状があれば、「いつものこと」と放置せず、早めに耳鼻咽喉科へ相談することをおすすめします。
通年性アレルギー性鼻炎とは、ダニやハウスダストなどが原因で、季節を問わず一年中くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が続く病気です。
その治療では、原因アレルゲンを特定し、掃除や環境整備でアレルゲンを避ける対策を行うとともに、症状に合わせて薬物療法やレーザー治療、そして根本的な体質改善を目指す舌下免疫療法などを選択することが重要です。
症状を放置せず、専門医に相談して適切な治療を受け、つらい症状から解放されましょう。
「なかの耳鼻科・美容皮ふ科」では、耳鼻咽喉科専門医が通年性アレルギー性鼻炎の正確な診断を行い、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた最適な治療法をご提案します。
薬による治療はもちろん、レーザー治療や、アレルギー体質を根本から改善する舌下免疫療法まで、幅広い選択肢に対応しています。
一年中続く鼻の不調でお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
当院では、専門的な知識と豊富な経験に基づき、患者さんに寄り添った医療を提供することを目指しています。
特にアレルギー性鼻炎の治療においては、診断から根本治療まで一貫してサポートできる体制を整えています。
日本耳鼻咽喉科学会専門医である院長が、丁寧な診察と的確な検査でアレルギーの原因を特定します。
その上で、抗ヒスタミン薬や点鼻薬などの標準的な薬物治療から、鼻づまりに効果的なレーザー治療、体質改善を目指す舌下免疫療法、重症/最重症のスギ花粉症の方に対しては抗IgE抗体療法(ゾレア)まで、幅広い治療の選択肢の中から、患者さんと相談しながら最適なプランをご提案します。
当院は、アレルギー性鼻炎の根本治療である舌下免疫療法に力を入れています。
今年度は地域でもトップクラスの導入実績があり、多くの患者さんに治療を開始していただいています。
症例数が多いからこそ、初回導入時の丁寧な説明や副作用への配慮、治療を継続するためのサポートなど、安心して治療を始めていただける体制が整っています。
当院は、小さなお子さんからご高齢の方まで、ご家族で安心して受診できる「地域のかかりつけ医」を目指しています。
アレルギー性鼻炎はお子さんにも多い病気であり、ご本人が症状をうまく伝えられない場合もあります。
保護者の方のお話をじっくり伺いながら、お子さん一人ひとりに合わせた優しい治療を心がけています。
どんな些細なことでも、お気軽にご相談ください。
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