耳垢栓塞の症状と治療法〜耳鼻科での除去と正しい耳掃除の頻度〜

急に耳が聞こえにくくなったり、水が入ったような耳の詰まり感が続いたりして、不安に感じていませんか。

この記事では、その不調の原因かもしれない「耳垢栓塞」について、ご自身で症状を確認する方法から、耳鼻咽喉科での安全な治療・除去方法、再発させないための正しい耳掃除の頻度までを詳しく解説します。

〜耳垢栓塞とは?耳の穴に耳垢が完全に詰まってしまう状態〜

耳垢栓塞とは、耳垢が耳の穴に完全に詰まってしまい、栓をしたような状態になる病気です。通常、耳垢は自然に耳の外へ排出されますが、何らかの原因で耳の奥に溜まり、硬く固まってしまうことで発症します。特に、不適切な耳掃除によって耳垢を奥に押し込んでしまうことが大きな原因の一つです。

耳垢の詰まりによって、聞こえにくさや耳の閉塞感といった症状が引き起こされます。

・耳垢には乾いた「乾性耳垢」と湿った「湿性耳垢」の2種類がある

耳垢には、個人の体質によって大きく2つのタイプがあります。一つは、乾燥してカサカサした「乾性耳垢(かんせいじこう)」です。もう一つは、湿り気があり粘り気の強い、いわゆるアメ耳と呼ばれる「湿性耳垢(しっせいじこう)」です。

この違いは遺伝によって決まるもので、湿性耳垢は乾性耳垢に比べて耳の穴に付着しやすく、溜まりやすい特徴があります。

・日本人の多くは乾性耳垢で、自然に排出されやすい

日本人の約7〜8割は、カサカサとした乾性耳垢であると言われています。乾性耳垢は、皮膚が鼓膜側から外耳道入り口方向に移動する「epithelial migration/上皮遊走」という作用や、顎の動きなどに伴って自然と耳の入り口の方へ移動し剥がれ落ちていく、「自浄作用」が働くため、本来は頻繁な耳掃除を必要としません。過度な耳掃除は、この自浄作用を妨げ、かえって耳垢を奥に押し込んでしまう可能性があります。

〜これって耳垢栓塞?セルフチェックしたい主な症状〜

耳垢栓塞になると、耳の中に栓がされたような状態になるため、特有の症状が現れます。自分で判断するのは難しいですが、以下のような症状に心当たりがないか確認してみてください。これらの症状は、耳垢栓塞を判断する上での重要なサインとなります。

・急な難聴や耳がこもるような詰まり感(耳閉感)

耳垢栓塞の最も代表的な症状は、突然の難聴や耳の詰まり感(耳閉感)です。特に、シャワーやお風呂、プールなどで耳に水が入ったことをきっかけに、耳垢が水分を吸って膨張し、急に耳が聞こえにくい状態になることがよくあります。音がこもって聞こえる、膜が張ったような圧迫感を感じるのも特徴です。

・キーン、ジーといった耳鳴りがする

耳垢の塊が鼓膜の近くを圧迫したり、外からの音が遮断されることで、脳が音を聞こうと感度を上げたりすることで、「キーン」や「ジー」といった耳鳴りが生じることがあります。難聴や耳閉感と同時に耳鳴りが気になる場合は、耳垢栓塞の可能性も考えられます。

・自分の声が頭に響くように聞こえる(自声強聴)

耳垢で外耳道が完全に塞がれると、音が届きにくくなる伝音難聴の状態が生じます。このとき、自分の発した声や呼吸音が骨を伝わって直接耳に響く「自声強聴」が起こり、自分の声が頭の中で大きく響く・割れて聞こえるといった違和感を自覚します。なお、自声強聴は耳管が開いたままになる「耳管開放症」でも見られる症状ですが、耳垢栓塞の場合は耳垢を取り除くことで速やかに改善するのが特徴です。

〜耳垢栓塞を招く主な原因|良かれと思った耳掃除が逆効果になることも〜

耳垢栓塞は、日常生活の中の些細な習慣が原因で引き起こされることが少なくありません。特に良かれと思って行っている耳掃除が、かえって症状を悪化させる最大の理由となる場合があります。なぜ耳垢が詰まりやすくなるのか、その主な原因を理解することが予防の第一歩です。

・綿棒や耳かきで耳垢を奥に押し込んでしまう

耳垢栓塞の最も多い原因は、不適切な耳掃除です。綿棒や耳かきを耳の奥まで入れると、耳垢を外にかき出すどころか、逆に奥へ奥へと押し込んでしまいます。これを繰り返すことで、耳垢が圧縮されて硬い塊となり、外耳道を塞いでしまうのです。

・お風呂やプールで耳に水が入り耳垢が膨らむ

もともと耳の奥に溜まっていた乾燥した耳垢は、お風呂やシャワー、水泳などで水分を吸収すると、まるでスポンジのように膨張します。それまで隙間があった外耳道が、膨らんだ耳垢によって完全に塞がれてしまい、突然聞こえなくなるという症状を引き起こします。

・補聴器やイヤホンの日常的な使用で耳垢が溜まりやすくなる

補聴器やイヤホン、耳栓などを日常的に使用していると、耳の穴が塞がれる時間が長くなります。これにより、耳垢が自然に排出されるのを物理的に妨げてしまい、耳の奥に溜まりやすくなります。器具を出し入れする際に、耳垢を奥に押し込んでしまうことも一因です。

・加齢に伴い耳の自浄作用が低下する

高齢になると、皮膚の新陳代謝が衰えるため、外耳道の皮膚が乾燥し、耳垢を自然に外へ送り出す自浄作用が低下します。そのため、耳垢が剥がれ落ちにくく、外耳道に蓄積しやすくなります。これも高齢者に耳垢栓塞が多く見られる理由の一つです。

〜耳鼻咽喉科で行う耳垢栓塞の治療法|無理せず専門医に相談を〜

耳垢栓塞の症状がある場合、自分で無理に取ろうとするのは危険です。耳鼻咽喉科では、専門の医師が安全かつ確実に耳垢を除去するための治療を行います。痛みを伴うことは少なく、多くは短時間で処置が完了しますので、安心して受診してください。専門医による処置は、最も安全な治し方です。

・専用の器具や吸引器を用いた安全な耳垢の除去

耳鼻咽喉科では、耳垢鉗子や耳垢鈎といった専用の器具を使い、耳垢を安全に取り除きます。また、医療用の吸引器を用いて、耳垢を吸い出す処置も行われます。

これらの方法は、医師が耳の中を直接見ながら行うため、鼓膜や外耳道を傷つけるリスクが低いのが特徴です。場合によっては、ぬるま湯で洗い流す「耳洗浄」を行うこともあります。

・固まった耳垢をふやかす点耳薬を使った処置

耳垢が長期間にわたって蓄積し、石のように硬くなってしまっている場合は、無理に剥がそうとはしません。まず、耳垢を柔らかくする点耳薬を処方します。この薬を数日間、自宅で耳の中に垂らしてもらい、硬い耳垢を十分にふやかしてから、後日改めて来院していただき、安全に除去する処置を行います。

・顕微鏡や内視鏡で耳の奥を観察しながら丁寧に取り除く

耳鼻咽喉科の医師は、処置を行う際に必要に応じて顕微鏡を使用します。これにより、耳の奥深くや鼓膜の状態を拡大して鮮明に確認しながら、丁寧かつ安全に耳垢の除去を行うことが可能です。自分で見えない部分を無理に触るのとは異なり、鼓膜などの重要な組織を傷つけることなく、安全性の高い処置ができます。

〜耳垢栓塞を繰り返さないために|正しい耳掃除の方法〜

一度耳垢栓塞の治療を受けても、誤った耳掃除の習慣を続けていると、再び繰り返す可能性があります。

耳の健康を守るためには、正しい耳掃除の頻度と方法を知っておくことが非常に重要です。

やりすぎは禁物であり、適切なケアを心がけましょう。

・耳掃除は基本的に不要!気になるときに優しくケア

耳には自浄作用があるため、耳掃除は基本的に必要ありません。気になるときは、耳の入り口から1cm程度の目で見える範囲を、綿棒やティッシュで優しく拭う程度にとどめましょう。毎日や週に何度も行う必要はなく、むしろやりすぎは耳のトラブルの原因になります。耳のつまりや聞こえにくさの詳しい原因については、耳の症状・疾患ページも併せてご確認ください。

・お風呂上がりの毎日の綿棒は外耳炎のリスクを高めるため避ける

お風呂上がりに毎日綿棒で耳の奥を掃除する習慣がある方もいますが、これは避けるべきです。頻繁な耳掃除は、耳の皮膚を守っている皮脂を取り過ぎてしまい、外耳道を乾燥させ、かえって炎症を引き起こすリスクを高めます。

〜お子さんや高齢者に耳垢栓塞が多い理由とご家族が気づくポイント〜

耳垢栓塞は、年齢を問わず誰にでも起こり得ますが、特にお子さんと高齢者は注意が必要です。それぞれの年代で耳垢が詰まりやすい理由があり、ご本人が症状をうまく伝えられない場合も多いため、ご家族が変化に気づいてあげることが大切になります。

・子供の耳垢栓塞:耳の穴が狭く、中耳炎などの病気との見極めも必要

子供は大人に比べて耳の穴(外耳道)が狭く、新陳代謝が活発なため耳垢が溜まりやすい傾向があります。また、自分で「聞こえにくい」といった症状を正確に訴えることが難しいため、ご家族が「呼びかけへの反応が悪い」「テレビの音を大きくする」といった変化に気づくことが重要です。難聴の原因が中耳炎など他の病気の可能性もあるため、気になる場合は耳鼻科での正確な診断が必要です。

・高齢者の耳垢栓塞:皮膚の乾燥や自浄作用の低下が影響

高齢になると、加齢によって耳の自浄作用が低下し、さらに皮膚の乾燥が進むことで耳垢が硬く、剥がれにくくなります。これにより、耳垢が外耳道に蓄積しやすくなります。また、補聴器の使用も耳垢の排出を妨げる一因です。

ご家族が会話中に聞き返しが増えたと感じた場合は、難聴だけでなく耳垢栓塞の影響も考えられます。

〜耳垢栓塞に関するよくあるご質問〜

ここでは、耳垢栓塞に関して患者さんからよく寄せられる質問についてお答えします。

Q. 耳掃除をしてもらうためだけに耳鼻科へ行ってもよいのでしょうか?

はい!!もちろん大丈夫です!

安全な耳掃除は専門知識を要する医療行為であり、ご自身で無理に行うよりも耳鼻咽喉科で処置を受ける方がはるかに安全です。また、他の病気が隠れていないかを確認する良い機会にもなりますので、耳掃除だけでも遠慮なくご来院ください。

Q. 耳垢栓塞の除去は痛いですか?治療にはどのくらいの時間がかかりますか?

耳垢の除去は、通常ほとんど痛みを伴いません。耳垢が非常に硬い場合でも、専用の薬で柔らかくしてから処置するため、無理に剥がすことはありません。処置にかかる時間は耳垢の状態によりますが、数分で終わることがほとんどです。

ただし、耳垢をふやかす点耳薬が必要な場合は、複数回の通院が必要になることもあります。

Q. 子供の耳垢が湿っているタイプですが、自宅での耳掃除はどうすればよいですか?

湿性耳垢は粘り気が強く詰まりやすいため、ご自宅で無理に取ろうとせず、定期的に耳鼻咽喉科で除去してもらうのが最も安全です。ご自宅でケアする場合は、耳の入り口付近に出てきたものを綿棒で優しく拭う程度にとどめ、決して奥まで入れないようにしてください。

〜まとめ〜

耳垢栓塞は、急な難聴や耳の詰まり感を引き起こす病気ですが、その多くは不適切な耳掃除が原因です。綿棒などで耳の奥を掃除する習慣は、かえって耳垢を押し込み、症状を悪化させるリスクがあります。もし耳垢栓塞が疑われる症状があれば、自分で解決しようとせず、速やかに耳鼻咽喉科を受診することが最も安全で確実な方法です。

また、再発を防ぐためには、無理な耳掃除を避け、気になるときに耳の入り口を優しく拭う程度の正しいケアを心がけましょう。

〜福岡市城南区・中央区・早良区で耳垢栓塞にお悩みなら「なかの耳鼻科・美容皮ふ科」へ〜

急な耳の詰まりや聞こえにくさでお悩みではありませんか。福岡市城南区の「なかの耳鼻科・美容皮ふ科」では、耳鼻咽喉科の専門医が、耳垢栓塞の診断から安全な除去まで丁寧に対応いたします。「耳掃除だけで受診してもいいのかな?」とためらう必要はありません。

お子さまからご高齢の方まで、耳のことで気になる症状があれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

・耳鼻咽喉科専門医が耳の奥までしっかり観察し、安全に処置します

顕微鏡や内視鏡といった専門設備を用いて、肉眼では見えない耳の奥までしっかりと観察し、鼓膜や外耳道を傷つけることなく安全に処置を行います。お一人おひとりの耳の状態に合わせて、最適な方法で治療を進めます。

・お子さまからご高齢の方まで、ご家族で安心して受診できる体制です

当院は、言葉で症状をうまく伝えられない小さなお子さんから、ご高齢の方まで、幅広い年代の患者さんに安心して受診していただけるクリニックを目指しています。ご家族皆さまの耳・鼻・のどの健康をサポートしますので、気になることがあればいつでもご相談ください。

・WEB予約システムで待ち時間を短縮し、通院しやすい環境を整えています

患者さんの貴重な時間を大切にするため、WEB予約システムを導入しています。スマートフォンやパソコンから事前に順番受付をすることで、院内での待ち時間を最小限に抑え、スムーズに診察を受けていただくことが可能です。お忙しい方でも安心してご来院ください。

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2026年10月21日