【耳鼻咽喉科専門医が解説】鼻づまりの原因・治療・自宅でできる対策|片側だけ詰まる場合は要注意!

「鼻が詰まって息がしづらい」
「口呼吸になって寝苦しい」
「市販の点鼻薬が手放せない」
鼻づまり(鼻閉)は、多くの方が経験する症状ですが、「ただの鼻風邪」と思って放置してしまう方も少なくありません。しかし、鼻づまりの原因はアレルギー性鼻炎だけではなく、副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症、鼻茸(ポリープ)、さらには稀ではありますが腫瘍などが隠れていることもあります。
特に長期間続く鼻づまりや片側だけの鼻づまりは、一度耳鼻咽喉科で詳しく調べることをおすすめします❗️
今回は耳鼻咽喉科専門医の立場から、鼻づまりの原因、治療法、自宅でできる対策について分かりやすく解説します。
<鼻づまりとは?>
鼻づまりとは、空気の通り道である鼻腔(びくう)が狭くなり、十分に空気が通らなくなった状態です。鼻づまりは単なる不快な症状ではありません。
鼻呼吸ができなくなることで
・睡眠の質が低下する
・集中力が落ちる
・いびきが増える
・睡眠時無呼吸症候群が悪化する
・子どもの場合は口呼吸による歯並びや顔面発育への影響
など、全身へさまざまな影響を及ぼします。
<鼻づまりの主な原因>
① アレルギー性鼻炎(最も多い原因)
花粉症やダニ・ハウスダストなどのアレルギーによって鼻粘膜が腫れ、鼻水も増えるため鼻が詰まります。
特徴:
・両側の鼻づまり
・透明な鼻水
・くしゃみ
・鼻のかゆみ/目のかゆみ
・季節性(スギ花粉などの季節のみ)または一年中続く
重症になると「鼻水より鼻づまり」が主症状になることも少なくありません。
アレルギー性鼻炎(アレルギー性鼻炎)について詳しくはこちらのページをご参照ください
② 急性・慢性副鼻腔炎
副鼻腔に炎症が起こる病気です。粘膜が腫れたり、膿がたまることで鼻づまりが起こります。
特徴:
・黄色や緑色の鼻水
・頬や額の痛み
・後鼻漏
・においが分かりにくい
・風邪のあとから悪化することが多い
慢性化すると数か月以上続くことがあります。
急性・慢性副鼻腔炎について詳しくはこちらのページをご参照ください
③ 鼻中隔弯曲症
鼻の左右を分ける壁(鼻中隔)が曲がっている状態です。
成人では非常に多く見られますが、軽度なら問題ありません。しかし、強く曲がると慢性的な鼻づまりの原因になります。
特徴:
・常に片側が詰まる
・寝る向きで悪化する
・鼻血が出やすい
薬では改善しにくく、重症例では手術が根本治療になります。
④ 下鼻甲介腫脹(肥厚性鼻炎)
鼻の中にある「下鼻甲介」が慢性的に腫れてしまう病気です。
アレルギー性鼻炎を長く繰り返す方によくみられます。粘膜そのものが厚くなっているため、薬だけでは十分改善しないことがあります。
⑤ 鼻茸(鼻ポリープ)
慢性副鼻腔炎・好酸球性副鼻腔炎などで鼻の中にできる、粘膜が腫れてしまってできてします組織です。大きくなると空気の通り道をふさいでしまいます。
特徴:
・鼻づまり
・嗅覚低下
・後鼻漏
・鼻声
大きなポリープでは手術が必要になることがあります。
⑥ 鼻の腫瘍(まれですが重要)
頻度は高くありませんが、良性腫瘍・悪性腫瘍でも鼻づまりが起こります。
注意する症状:
・片側だけ詰まる
・鼻血を繰り返す
・顔面の痛み
・頬が腫れる
このような場合は早めの受診が必要です。
<鼻づまりの検査>

耳鼻咽喉科では以下のような検査を行います。
・鼻内視鏡検査
細いカメラで鼻の奥まで観察し、鼻中隔弯曲・ポリープ・副鼻腔炎・腫瘍の有無を評価します。
・CT検査
当院はCTを完備しており、副鼻腔炎や鼻中隔弯曲、ポリープの広がりを詳しく確認できます。手術が必要かどうかの判断にも重要です。
・アレルギー検査
血液検査、特異的IgE検査、鼻汁好酸球検査などで原因を調べます。
特に当院では指先1滴で41項目のアレルゲンをチェックできる検査も行っております。
<鼻づまりの治療>
原因によって治療法は異なります。
薬物療法
・ステロイド点鼻薬
現在の鼻づまり治療の中心です。粘膜の炎症を抑え、アレルギー、慢性副鼻腔炎、鼻茸にも効果があります。即効性はありませんが、毎日継続することで高い効果が期待できます。
・抗ヒスタミン薬
くしゃみ・鼻水に有効ですが、鼻づまりへの効果はステロイド点鼻薬ほど強くありません。最近は眠気の少ない薬も増えています。
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
鼻づまりが強いアレルギー性鼻炎では有効なことがあります。喘息を合併している患者さんにもよく使用されます。
・漢方薬
体質によっては、葛根湯加川芎辛夷・辛夷清肺湯などが有効なことがあります。
・舌下免疫療法
現時点で(2026年7月時点)、日本においてはスギ花粉症とダニアレルギーによる鼻症状の場合は適応があります。
・抗IgE抗体療法(ゾレア®︎)
重症/最重症のスギ花粉症に対して適応がある治療で、非常に効果的です。
抗IgE抗体療法について詳しくはこちらのページをご参照ください
手術治療
薬で改善しない場合は手術を検討します。
代表的には、
・鼻中隔矯正術
・下鼻甲介手術
・粘膜焼灼術
・内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
などがあります。
当クリニックでは、炭酸ガスレーザーを用いた鼻粘膜焼灼術も積極的に行っております。
<自宅でできる鼻づまり対策>

① 鼻洗浄
生理食塩水による鼻洗浄は非常におすすめです。
期待できる効果:花粉除去、アレルゲン除去、鼻汁除去、粘膜機能改善
毎日のケアとしても安全性が高い方法です。
②部屋の加湿
乾燥すると鼻粘膜が腫れやすくなります。湿度40〜60%程度を目安に保つと快適です。加湿器は定期的に清掃し、カビや細菌の繁殖を防ぐことも重要です。
③ 睡眠時は少し頭を高くする
横になると鼻の血流が増えて鼻づまりが悪化します。頭の方を少し高くするだけでも改善する方がいます。
(注)小さな子供は、枕だけを高くするのは注意しましょう。首が折れ曲がってかえって息苦しくなることがあります。傾斜をつけるようにして頭を高くしてあげましょう。
④ アレルゲン対策
ダニ・ハウスダスト対策として以下のことも重要です。
・寝具を洗う
・掃除機をかける
・空気清浄機を使用する
花粉症では帰宅後の洗顔・うがい・着替えも効果的です。
⑤ 市販の点鼻薬の使いすぎに注意

血管収縮薬入り点鼻薬は一時的には非常によく効きます。しかし、長期間使用すると薬剤性鼻炎になり、
「点鼻薬を使わないと全く鼻が通らない」
という状態になります(当院にも多数の薬剤性鼻炎になってしまった方が来院されており、思った以上に多い印象があります)。
一般的には7日以上の連続使用は避けることが推奨されています。慢性的な鼻づまりがある場合は、市販薬で我慢するのではなく耳鼻咽喉科を受診しましょう。
<このような場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう>
次のような症状がある場合は、自己判断せず受診をおすすめします。
・鼻づまりが2週間以上続く
・片側だけ鼻が詰まる
・鼻血を繰り返す
・においが分からない
・黄色い鼻水が長く続く
・顔面痛や頭痛がある
・いびきや睡眠時無呼吸を指摘された
・市販薬で改善しない
・市販の点鼻薬をやめられない
鼻づまりは「症状」ではなく、「原因」を見極めることが最も重要です。
耳鼻咽喉科では、鼻内視鏡や必要に応じた画像検査・アレルギー検査を組み合わせて、鼻づまりの本当の原因を診断します。その結果に応じて、薬物療法だけでなく、鼻洗浄の指導やアレルゲン対策、手術療法まで含めた総合的な治療を提案できます。特に、片側だけの鼻づまり、長引く鼻づまり、嗅覚低下を伴う鼻づまりは、アレルギー性鼻炎以外の病気が隠れていることもあるため、早めの受診が大切です。
<最後に…>
鼻づまりは、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎だけでなく、鼻中隔弯曲症や鼻茸、まれには腫瘍など、さまざまな原因で起こります。症状が長引く場合や片側だけに起こる場合は、早めに耳鼻咽喉科で原因を調べることが重要です。
適切な診断を受けることで、薬物療法や手術療法、自宅でのセルフケアを組み合わせ、一人ひとりに合った治療を行うことができます。鼻呼吸を取り戻すことは、睡眠の質や日中の集中力、生活の質(QOL)の改善にもつながります。「鼻づまりくらい」と我慢せず、気になる症状が続く場合はぜひ耳鼻咽喉科へご相談ください。
<参考文献>
鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版.
慢性副鼻腔炎診療ガイドライン.
American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery. Clinical Practice Guideline: Allergic Rhinitis. Otolaryngol Head Neck Surg. 2015.
European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps. Rhinology. 2020.
Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma. Updated international recommendations for allergic rhinitis management.
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