
「昼間はそれほど鼻がつまらないのに、夜になると鼻づまりがひどくなる」
「布団に入って横になると、片方の鼻がつまる」
「鼻づまりで寝苦しく、夜中に何度も目が覚める」
このような症状でお悩みではありませんか?
実は、夜間や就寝時に鼻づまりが悪化することには、鼻の構造や自律神経、体位などが関係しています。
特に秋から冬にかけては、空気の乾燥や室内のハウスダストなどが影響し、鼻づまりを自覚しやすくなる方もいます。
今回は、寝ると鼻づまりが悪化する理由、考えられる病気、自宅でできる対策、耳鼻咽喉科での治療について解説します。
① 横になることで鼻粘膜がうっ血する

鼻の内部には「下鼻甲介(かびこうかい)」という構造があり、表面は豊富な血管を含む粘膜で覆われています。
下鼻甲介は、吸い込んだ空気を温めたり、加湿したりする重要な働きをしています。
一方で、鼻粘膜の血管は自律神経の影響を受けて拡張・収縮するため、鼻の通りやすさも変化します。
立っているときと比べて、横になると体液や血液の分布が変化し、鼻粘膜の血液量が増えることで鼻腔が狭くなり、鼻づまりが悪化する場合があります。
つまり、寝ると鼻がつまるのは、必ずしも鼻水が増えるからではなく、鼻の粘膜が腫れることも大きな原因なのです。
② 「鼻周期」によって左右交互に鼻がつまる
実は、健康な人でも左右の鼻の通りやすさは常に同じではありません。
私たちの鼻には「鼻周期(nasal cycle)」と呼ばれる生理的な現象があります。
これは、自律神経の働きによって、左右の鼻粘膜が交互に腫れたり縮んだりする現象です。
数時間程度の周期で変化することが多いものの、個人差があり、必ずしも一定の時間で交代するわけではありません。
特に横向きに寝ると、下側になった鼻の通りが悪くなることがあります。
例えば、右側を下にして寝ると右の鼻がつまる、左側を下にすると左の鼻がつまる、といった症状です。
鼻周期自体は正常な生理現象ですが、アレルギー性鼻炎などで鼻粘膜が腫れていると、鼻周期による変化を強く感じやすくなります。
③ アレルギー性鼻炎が夜間の鼻づまりを悪化させる
夜間の鼻づまりで多い原因の一つが、アレルギー性鼻炎です。
特に注意したいのが、ダニやハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎です。
寝具にはダニ由来のアレルゲンが蓄積しやすく、就寝時に吸い込むことで鼻のアレルギー症状が悪化する場合があります。
また、アレルギー性鼻炎では、くしゃみや鼻水よりも鼻づまりが主体となる「鼻閉型」の患者さんもいます。
次のような症状があれば、アレルギー性鼻炎が関係している可能性があります。
・朝起きるとくしゃみや鼻水が多い
・布団に入ると鼻がつまる
・一年中鼻づまりがある
・鼻や目がかゆくなる
・家の掃除や寝具の交換時に症状が悪化する
④ 秋冬の乾燥や寒暖差による影響
秋から冬にかけては、外気温の低下や暖房による室内の乾燥が鼻の症状に影響します。
鼻の粘膜は、吸い込んだ空気を適切な温度と湿度に調整する役割を担っています。
しかし、乾燥した空気にさらされると、鼻粘膜の乾燥や刺激感、鼻汁の粘稠化などが起こり、鼻の不快感が増すことがあります。
また、急激な温度変化によって鼻水や鼻づまりが生じる「非アレルギー性鼻炎」が関与する場合もあります。
ただし、乾燥だけで鼻づまりが生じるとは限らず、アレルギー性鼻炎や鼻の構造的な問題が隠れていることもあります。
夜間の鼻づまりが続く場合には、単なる体位の影響だけでなく、鼻の病気が関係している可能性があります。
| 原因・病気 | 特徴 |
| アレルギー性鼻炎 | ダニ・ハウスダストなどで鼻粘膜が腫れる |
| 非アレルギー性鼻炎 | 温度変化や刺激などで鼻症状が生じる |
| 鼻中隔弯曲症 | 鼻の左右を隔てる壁が曲がり、片側がつまることが多い |
| 下鼻甲介肥大 | 下鼻甲介が腫大し、鼻の空気の通り道が狭くなる |
| 慢性副鼻腔炎 | 鼻づまりに加え、粘り気のある鼻水や嗅覚低下を伴うことがある |
| 鼻茸(鼻ポリープ) | 鼻腔内にポリープができ、持続的な鼻閉を引き起こす |
特に、片側だけの鼻づまりが持続する場合や、薬を使用しても改善しない場合には、鼻の構造的な異常や鼻腔内の病変を確認することが重要です。
まれですが、片側性の鼻閉に血性鼻汁や反復する鼻出血を伴う場合には、腫瘍性病変にも注意が必要です。
鼻づまりは、単に息苦しいというだけでなく、睡眠にも影響することがあります。

・鼻づまりによって口呼吸が増える
鼻の通りが悪くなると、睡眠中に口呼吸が増える場合があります。
口呼吸では、口腔や咽頭が乾燥しやすくなり、起床時の喉の痛みや口の渇きにつながることがあります。
また、鼻腔抵抗の増加は、いびきや睡眠中の呼吸障害に関係することがあります。
・鼻づまりと睡眠時無呼吸症候群
鼻づまりが強い方では、睡眠の質が低下したり、いびきが増えたりすることがあります。
さらに、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者さんでは、鼻閉が呼吸のしづらさやCPAP治療の継続しにくさに関係することもあります。
ただし、睡眠時無呼吸症候群の主な閉塞部位は咽頭であり、鼻づまりだけが原因とは限りません。
鼻づまりを治療することで、睡眠の自覚症状やCPAPの使用しやすさが改善する場合がありますが、鼻の治療だけで睡眠時無呼吸症候群が治るとは限らない点には注意が必要です。
次のような症状がある場合には、鼻の診察だけでなく、睡眠時無呼吸症候群の評価も検討します。
・大きないびきをかく
・睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される
・夜中に何度も目が覚める
・十分寝ても疲れが取れない
・日中に強い眠気がある
夜間の鼻づまりを軽減するために、日常生活で工夫できることがあります。
① 寝室の湿度を適切に保つ
乾燥が強い場合には、加湿器などを使用して寝室の湿度を調整しましょう。
湿度40〜60%程度を一つの目安とし、過度な加湿による結露やカビの発生には注意してください。
② 寝具のダニ・ハウスダスト対策
アレルギー性鼻炎が疑われる場合には、寝具の管理が重要です。
シーツや枕カバーを定期的に洗濯し、寝具の清掃や防ダニカバーの使用などを検討しましょう。
ダニアレルゲンへの曝露を減らすことは有用ですが、環境整備だけですべての鼻症状が改善するわけではありません。
③ 頭を少し高くして寝る
横になることで鼻づまりが悪化する場合には、上半身を少し起こした姿勢で寝ると楽になることがあります。
ただし、効果には個人差があり、無理に枕を高くして首に負担をかけないようにしましょう。特に子供の場合は頭だけを高くしてしまうと首が過度に折れ曲がってしまい(顎が胸につくように)、気道がせなくなるため、窒息・呼吸困難の原因になってしまいますので注意しましょう。子供場合は、頭から背中にかけて傾斜をかけるようにして頭を高くしてあげると良いでしょう。
④ 生理食塩水による鼻洗浄(鼻うがい)
鼻洗浄は、鼻腔内の粘液やアレルゲンを洗い流し、鼻症状を軽減する補助的な方法です。
専用の鼻洗浄液や器具を使用し、適切な方法で行うことが大切です。
鼻洗浄に用いる水は、一度沸騰させて冷ました水を使用しましょう。
鼻洗浄の方法や鼻うがいの器具の選定については過去のブログをご参照ください。
⑤ 血管収縮薬入り点鼻薬の連用に注意!
鼻づまり用点鼻薬には、鼻粘膜の血管を収縮させ、一時的に鼻の通りを良くするものがあります(市販のものにも多く含まれています)。
即効性がある一方で、長期間繰り返し使用すると、かえって鼻づまりが悪化する「薬剤性鼻炎」を引き起こすことがあります。
毎晩のように点鼻薬を使用しなければ眠れない場合は、薬を追加するのではなく、耳鼻咽喉科で原因を調べることをおすすめします。
夜間の鼻づまりが続く場合には、鼻の粘膜の状態と鼻腔の構造を確認し、原因に応じた治療を行います。
検査について
・鼻腔内の診察、鼻内視鏡検査
下鼻甲介の腫れ、鼻中隔の弯曲、鼻茸の有無、鼻汁の性状などを確認します。
症状や診察所見に応じて、ダニ、ハウスダスト、花粉などに対するアレルギーの有無を調べます。
・副鼻腔の画像検査
慢性副鼻腔炎や鼻茸などが疑われる場合には、必要に応じてレントゲンやCTなどの画像検査を検討します。
・睡眠時無呼吸症候群の検査
いびきや無呼吸、日中の眠気などがある場合には、睡眠検査を検討します。
治療について
夜間の鼻づまりの治療は、原因によって異なります。
| 治療方法 | 主な対象・目的 |
| ステロイド点鼻薬 | アレルギー性鼻炎などによる鼻粘膜の炎症・腫脹を抑える |
| 抗ヒスタミン薬 | アレルギー性鼻炎の症状(鼻汁、痒みなど)を軽減する |
| 舌下免疫療法 | ダニ・スギ花粉によるアレルギー性鼻炎に対する長期的治療 |
| 下鼻甲介手術・鼻粘膜焼灼術 | 薬物治療で改善しにくい鼻症状(特に鼻閉)に対して検討 |
| 鼻中隔矯正術など | 鼻の構造的な狭窄が強い場合に検討 |
特に鼻づまりが主体のアレルギー性鼻炎では、鼻粘膜の炎症を抑えるステロイド点鼻薬が重要な治療選択肢となります。
また、鼻中隔弯曲症や高度な下鼻甲介肥大など、構造的な問題が大きい場合には、薬だけでは十分な改善が得られないこともあります。
Q. 寝ると片方の鼻だけつまるのは病気ですか?
必ずしも病気とは限りません。鼻周期や横向きの姿勢によって、片側の鼻がつまることは健康な人でも起こります。ただし、常に同じ側がつまる場合には、鼻中隔弯曲症などが関係している可能性があります。
Q. 夜だけ鼻づまりがひどいのはアレルギーでしょうか?
アレルギー性鼻炎は原因の一つですが、それだけとは限りません。体位による鼻粘膜のうっ血、鼻周期、非アレルギー性鼻炎、鼻の構造的な問題なども考えられます。
Q. 鼻づまりを治せば、いびきも治りますか?
鼻づまりの改善によって、いびきが軽減する場合はあります。しかし、いびきには舌や軟口蓋、咽頭の構造なども関係するため、鼻の治療だけで完全に改善するとは限りません。
Q. 子どもが寝ると鼻づまりやいびきを起こす場合は?
小児では、アレルギー性鼻炎に加えて、アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大が関係している場合があります。習慣的ないびきや口呼吸、睡眠中の無呼吸がある場合には、耳鼻咽喉科での評価をおすすめします。
Q. 寝る前に鼻づまりの点鼻薬を使ってもよいですか?
ステロイド点鼻薬と血管収縮薬入り点鼻薬では作用が異なります。ステロイド点鼻薬は継続使用によって炎症を抑える薬ですが、血管収縮薬入り点鼻薬は連用による薬剤性鼻炎に注意が必要です。使用する薬剤や使用期間について、医師・薬剤師に確認しましょう。
夜間の鼻づまりには理由があります。
寝ると鼻づまりが悪化する背景には、横になることによる鼻粘膜のうっ血や、左右の鼻が交互につまる鼻周期など、正常な生理現象が関係していることがあります。
一方で、アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症、慢性副鼻腔炎など、治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
特に、鼻づまりによって眠れない、口呼吸やいびきが続く、日中の眠気が強いといった場合には、睡眠への影響も考慮することが大切です。
「寝ると鼻がつまるのは仕方がない」と我慢せず、原因に応じた適切な治療を受けましょう。
当院では、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症など、さまざまな鼻づまりの原因を考慮し、患者さん一人ひとりの症状に合わせた診療を行っています。
鼻づまりは、日常生活だけでなく、睡眠の質にも影響する重要な症状です。
「夜になると鼻がつまる」「寝ると息苦しい」「鼻づまりといびきが気になる」といった症状がある方は、お気軽にご相談ください。
福岡市の「なかの耳鼻科・美容皮ふ科」では、鼻の専門的な診療を通じて、快適な鼻呼吸と良質な睡眠をサポートします。
ご予約やお問い合わせは、こちらの予約ページ(LINEまたはWEB)よりご利用ください。
Camacho M, et al. Sleep. 2015.
Schoustra E, et al. Brain Sciences. 2022.
Nasal function and CPAP use in patients with obstructive sleep apnoea: a systematic review. 2021.
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