のどが痛い原因は風邪だけではありません|耳鼻科で見つかる本当の原因と受診の目安

「のどが痛い」
「飲み込むと痛い」
「熱はないけれど喉だけ痛い」
「市販薬を飲んでも治らない」
このような症状で悩んでいませんか?
のどの痛みは風邪の代表的な症状ですが、実は原因は風邪だけではありません。急性扁桃炎や溶連菌感染症、新型コロナウイルス感染症だけでなく、アレルギーや副鼻腔炎、胃酸の逆流(逆流性食道炎)、さらには声帯や上咽頭の病気など、さまざまな原因で起こります。
耳鼻咽喉科では、単に「のどが赤いですね」で終わるのではなく、現在の症状や所見次第で鼻・のど・声帯・首まで詳しく診察し、痛みの原因をより正確に診断することができます。
今回は、「のどが痛い」原因や対処法、耳鼻咽喉科を受診した方がよい症状について、耳鼻咽喉科専門医の立場から解説します。
のどが痛くなる仕組み
のどの痛みは、咽頭や扁桃、喉頭などの粘膜に炎症が起こることで生じます。炎症が起こると、体内では炎症物質(プロスタグランジンやブラジキニンなど)が放出され、神経を刺激するため「痛い」と感じます。
炎症を起こす原因はさまざまで、大きく分けると次の4つがあります。
・ウイルス感染
・細菌感染
・アレルギーや乾燥などの刺激
・胃酸逆流や慢性的な炎症
つまり、「のどが痛い」という症状だけでは原因を判断することは難しく、症状や診察所見を総合して診断することが重要です。
のどが痛い原因にはどのような病気がある?
① ウイルス感染(最も多い原因)
最も多いのは風邪を引き起こすウイルスです。
代表的なものは下記のもになります。
・ライノウイルス
・アデノウイルス
・RSウイルス
・新型コロナウイルス
・旧型コロナウイルス
・インフルエンザウイルス
鼻水や咳、発熱を伴うことが多く、多くは1週間程度で改善します。
② 細菌感染
細菌感染では強い痛みや高熱を伴うことがあります。
代表的なものは下記のものになります。
・溶連菌感染症
溶連菌の検査において注意点があり、無症状保菌者がいることです。つまり、症状がなく、他の人へも感染させるリスクが低い人がいることです。その頻度は、小児でも10-15%程度と言われています(Pediatrics. 2010など)。これらの人は治療する必要がないと言われています(Clin Infect Dis. 2012など)。従いまして、症状と所見を合わせて検査が必要か判断することが大切で、むやみやたらに検査をしない方が良いです❗️
その他に下記の菌が原因となることがあります。
・肺炎球菌
・インフルエンザ菌
・ブドウ球菌
です。特に溶連菌感染症では適切な抗菌薬治療が必要で、放置すると合併症を起こすこともあります。
③ 扁桃周囲膿瘍
片側だけが非常に痛く、以下の症状があれば要注意です。
・飲み込めない
・よだれが出る(唾液も飲み込めないため)
・口が開けにくい(口を開く筋肉まで炎症が及ぶためです)
・声がこもる
膿がたまっている可能性があり、切開排膿や入院が必要になることもあります。
④ 上咽頭炎
耳鼻咽喉科でよく遭遇するものの、一般にはあまり知られていない病気です。
鼻とのどの境目(上咽頭)に炎症が起こる病気で、以下の症状が代表的です。
・のどの違和感
・飲み込むと痛い
・後鼻漏
・慢性的なのどの痛み
通常の口を開ける診察では見えないため、小さな鏡で反射させて観察するもしくは鼻から入れる内視鏡検査で観察して診断します。
⑤ アレルギー・後鼻漏
花粉症やアレルギー性鼻炎では、鼻水がのどへ流れる「後鼻漏」が起こります。
これが慢性的にのどを刺激し、以下の症状につながります。
・イガイガする
・のどが痛い
・咳払いが増える
⑥ 胃酸逆流(逆流性食道炎・咽喉頭逆流症)
胃酸がのどまで逆流すると、以下の症状が起きる可能性があります。
・朝だけ痛い
・声がかれる
・のどに何かある感じ
胸やけがない方でも起こることがあります。
⑦ 声の使い過ぎ
教師や保育士、営業職など声をよく使う方では、声帯に炎症が起こり、以下の症状が現れます。
・のどの痛み
・声がかすれる
症状別に考えられる病気
熱がある
・インフルエンザ
・新型コロナウイルス感染症
・急性咽頭炎
・扁桃炎
・溶連菌感染症
・ウイルス感染症
熱はないのにのどが痛い
・ウイルス感染
・アレルギー
・後鼻漏
・上咽頭炎
・胃酸逆流
・乾燥
・声帯炎
飲み込むと痛い
・扁桃炎
・上咽頭炎
・咽頭炎
・扁桃周囲膿瘍
片側だけ痛い
・扁桃周囲膿瘍
・扁桃炎
・咽頭異物
・まれに腫瘍
声がかれる
・急性喉頭炎
・声帯ポリープ
・声帯結節
・声帯麻痺
・咽喉頭逆流症
・まれに腫瘍
2週間以上声のかすれが続く場合は、声帯の詳しい検査をおすすめします。
自宅でできる対処法

症状が軽い場合には、次のような方法が有効です。
・水分をしっかり摂る
・部屋を加湿する(湿度40〜60%程度)
・十分な睡眠をとる
・のどを酷使しない
・禁煙する
・アルコールを控える
・必要に応じて鎮痛薬を使用する
一方で、自己判断で抗菌薬を飲むことはおすすめできません。ウイルス感染には抗菌薬は効果がなく、不必要な使用は耐性菌の原因にもなります。
このような症状は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう
次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
・高熱が続く
・飲み込めないほど痛い
・水分も飲めない
・息苦しい
・よだれが出る
・口が開けにくい
・片側だけ強く痛む
・首が大きく腫れている
・1週間以上改善しない
・声のかすれが2週間以上続く
これらの症状は、扁桃周囲膿瘍や喉頭蓋炎、深頸部感染症、悪性腫瘍など、早急な治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
耳鼻咽喉科ではどのような検査をするの?
耳鼻咽喉科では原因に応じて次のような検査を行います。
・のどや扁桃の診察
・鼻の診察
・鼻咽腔・喉頭ファイバースコープ(内視鏡検査)
・頸部超音波(エコー)検査
・溶連菌迅速検査
・新型コロナウイルスやインフルエンザなどのウイルス迅速検査
・多項目同時検査(スポットファイア)
・必要に応じて血液検査
特に内視鏡検査では、口から見えない上咽頭や喉頭、声帯まで観察できるため、「原因がわからないのどの痛み」の診断に非常に有用です。
よくある質問(Q&A)
Q. のどが痛いときは内科と耳鼻科、どちらを受診すればよいですか?
強いのどの痛み、飲み込みづらさ、声のかすれ、繰り返す症状がある場合は耳鼻咽喉科がおすすめです。耳だけでなく、鼻・のど・声帯まで詳しく診察できます。必要に応じてファイバースコープで確認し、緊急性の高い疾患でないかなど確認することができます。
Q. 市販薬だけで様子を見ても大丈夫ですか?
軽い風邪であれば改善することもありますが、高熱や強い痛み、飲み込みづらさ、症状が長引く場合は受診をおすすめします。
Q. のどが痛いときにうがいは効果がありますか?
水うがいはのどの衛生を保ち、乾燥を防ぐのに役立ちます。ただし、症状を根本的に治すものではないため、痛みが続く場合は原因を調べることが大切です。うがい薬によっては炎症を抑える作用があるものもあります。
まとめ
「のどが痛い」という症状は風邪だけでなく、細菌感染、上咽頭炎、アレルギー、胃酸逆流、声帯の病気など、さまざまな原因で起こります。
特に「熱がないのにのどが痛い」「飲み込むと痛い」「片側だけ痛い」「何度も繰り返す」「市販薬で改善しない」といった症状は、耳鼻咽喉科で詳しく調べることで原因が明らかになることが少なくありません。
耳鼻咽喉科では、鼻・のど・声帯まで総合的に診察し、必要に応じて内視鏡検査や迅速検査、頸部超音波検査などを組み合わせることで、症状の原因をできる限り正確に診断し、一人ひとりに適した治療をご提案します。
「のどの痛みだから風邪だろう」と自己判断せず、症状が強い場合や長引く場合は、お気軽に耳鼻咽喉科へご相談ください。
最近の投稿はこちら