
美容皮膚科のたるみ治療として注目を集めている「ザーフ(XERF)」。当院でも人気の高い施術です。ただ名前は聞いたことがあるけれど、他のたるみ治療と何がどう違うのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。今回は、ザーフの仕組みと期待できる効果について、わかりやすく解説します。
ザーフは、6.78MHzと2MHzという2つの周波数を同時に照射できる、世界初のデュアル周波数モノポーラRF(高周波)機器です。従来のRFたるみ治療は単一の周波数を用いるものが主流でしたが、ザーフは2つの周波数を組み合わせることで、皮膚の浅い層から深い層(脂肪層)まで幅広くアプローチできるという特徴があります。

ザーフは、shallow(浅層)・middle(中間層)・deep(深層)という3段階の深度モードを切り替えながら照射します。真皮層のハリ感を高めたい場合は浅めの設定、頬やフェイスラインのもたつきが気になる場合は深めの設定にするなど、お悩みに合わせて調整できる点が特徴です。
ザーフで期待できる効果は、大きく「引き締め(タイトニング)」「リフトアップ」「肌質改善」の3つです。RFの熱エネルギーによって皮下組織を引き締めると同時に、コラーゲンやエラスチンの生成を促すことで、ハリのある肌へと導きます。
ザーフは、痛みを抑えながら深層へアプローチできる新しい選択肢として、多くの方に選ばれています。
「ザーフを受けたら、いつから効果を感じられるの?」「どのくらい効果が続くの?」というご質問は、カウンセリングでも非常に多くいただきます。ザーフの効果が出るタイミングと持続期間について、段階別に解説します。
ザーフはRFの熱エネルギーによってその場で組織を引き締めるため、施術直後からフェイスラインや頬の引き上がりを感じられる方も多いです。「すぐに変化が分かる」という即効性は、ザーフが選ばれている理由のひとつです。
ただ、実際に効果が一番実感できるのは施術から1ヶ月目が多いです。そこから3ヶ月目にかけて、さらに引き締まっていきます。4ヶ月目以降は少しピークを過ぎて緩やかにたるみが進行していきます。
一方で、コラーゲンやエラスチンの生成による肌質改善(ハリ・ツヤアップ)の効果は、施術後2週間〜1ヶ月程度かけてゆっくりと表れてきます。施術直後の引き締め感とは別に、「肌の質感が変わってきた」と感じるのは、この時期以降になることが多いです。
ザーフの効果は個人差がありますが、おおむね半年〜1年程度持続するとされています。ただし、加齢による肌のたるみは日々進行するため、効果を維持するには定期的なメンテナンス治療が推奨されます。
施術後は十分な保湿を行い、紫外線対策を徹底することが、効果を長持ちさせるポイントです。また、次の施術タイミングを逃さないよう、適切な間隔でメンテナンスを受けることも重要です。
当院では半年おきでの治療をおすすめしております。
また日頃のスキンケア製品やコスメなどの選択も、効果を長持ちさせるのに重要です。
次回は、ザーフ(高周波)とハイフ、どちらを選ぶべきか、それぞれの特徴とともに詳しくご紹介します。
※効果の感じ方には個人差があります。
詳細や施術価格についてはこちらからご確認ください。






首のしこりは珍しくありません
首には多数のリンパ節や甲状腺、唾液腺が存在します。
風邪の後にリンパ節が腫れることもあれば、甲状腺結節や唾液腺腫瘍などが原因となることもあります。
<頸部エコーとは>
超音波を用いて首の内部を観察する検査です。
放射線被ばくがなく、痛みもありません。
検査時間は数分です。
余談ですが、、、
「コウモリが暗闇でも飛べる理由をご存じですか?」
コウモリは超音波を出し、その跳ね返ってきた音(エコー)から周囲の様子を把握しています。
病院・クリニックで行う超音波(エコー)検査も、まったく同じ原理です。
首に超音波を当て、その反射を画像に変換することで、リンパ節・甲状腺・唾液腺などの状態を安全に観察できます。放射線を使わないため被ばくはなく、痛みもありません。お子さんからご高齢の方まで安心して受けられる検査です。

<どんな病気が見つかるの?>
リンパ節疾患
・反応性リンパ節腫脹
・頸部リンパ節炎
・悪性腫瘍(悪性リンパ腫、転移性リンパ節など)
など
甲状腺疾患
・甲状腺嚢胞
・腺腫様甲状腺腫
・甲状腺炎(亜急性甲状腺炎、橋本病など)
・良性甲状腺腫瘍
・悪性甲状腺腫瘍(甲状腺癌など)
など
唾液腺疾患
・耳下腺腫瘍(悪性腫瘍、良性腫瘍)
・顎下腺腫瘍(悪性腫瘍、良性腫瘍)
・唾石症(殆どは顎下腺とその導管です)
・唾液腺炎(反復性耳下腺炎、顎下腺炎など)
など
その他
・正中頸嚢胞
・側頸嚢胞
・脂肪腫
など

<耳鼻咽喉科によるの頸部エコーの特徴>
当院では耳鼻咽喉科専門医が診察からエコー検査まで担当します。
画像だけを見るのではなく、鼻・咽頭喉頭・声帯・リンパ節・甲状腺・唾液腺などを総合的に評価し診断します。
総合病院では検査技師さんが担当することが多いです。
<こんな方は耳鼻咽喉科へご相談ください>
・首にしこりがある
・首が腫れている
・のどの違和感が続く
・甲状腺の異常を指摘された
・健診で首の異常を指摘された
・唾液腺が腫れる
・食事のたびにあごの下が腫れる
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のどが痛い原因は風邪だけではありません|耳鼻科で見つかる本当の原因と受診の目安

「のどが痛い」
「飲み込むと痛い」
「熱はないけれど喉だけ痛い」
「市販薬を飲んでも治らない」
このような症状で悩んでいませんか?
のどの痛みは風邪の代表的な症状ですが、実は原因は風邪だけではありません。急性扁桃炎や溶連菌感染症、新型コロナウイルス感染症だけでなく、アレルギーや副鼻腔炎、胃酸の逆流(逆流性食道炎)、さらには声帯や上咽頭の病気など、さまざまな原因で起こります。
耳鼻咽喉科では、単に「のどが赤いですね」で終わるのではなく、現在の症状や所見次第で鼻・のど・声帯・首まで詳しく診察し、痛みの原因をより正確に診断することができます。
今回は、「のどが痛い」原因や対処法、耳鼻咽喉科を受診した方がよい症状について、耳鼻咽喉科専門医の立場から解説します。
のどが痛くなる仕組み
のどの痛みは、咽頭や扁桃、喉頭などの粘膜に炎症が起こることで生じます。炎症が起こると、体内では炎症物質(プロスタグランジンやブラジキニンなど)が放出され、神経を刺激するため「痛い」と感じます。
炎症を起こす原因はさまざまで、大きく分けると次の4つがあります。
・ウイルス感染
・細菌感染
・アレルギーや乾燥などの刺激
・胃酸逆流や慢性的な炎症
つまり、「のどが痛い」という症状だけでは原因を判断することは難しく、症状や診察所見を総合して診断することが重要です。
のどが痛い原因にはどのような病気がある?
① ウイルス感染(最も多い原因)
最も多いのは風邪を引き起こすウイルスです。
代表的なものは下記のもになります。
・ライノウイルス
・アデノウイルス
・RSウイルス
・新型コロナウイルス
・旧型コロナウイルス
・インフルエンザウイルス
鼻水や咳、発熱を伴うことが多く、多くは1週間程度で改善します。
② 細菌感染
細菌感染では強い痛みや高熱を伴うことがあります。
代表的なものは下記のものになります。
・溶連菌感染症
溶連菌の検査において注意点があり、無症状保菌者がいることです。つまり、症状がなく、他の人へも感染させるリスクが低い人がいることです。その頻度は、小児でも10-15%程度と言われています(Pediatrics. 2010など)。これらの人は治療する必要がないと言われています(Clin Infect Dis. 2012など)。従いまして、症状と所見を合わせて検査が必要か判断することが大切で、むやみやたらに検査をしない方が良いです❗️
その他に下記の菌が原因となることがあります。
・肺炎球菌
・インフルエンザ菌
・ブドウ球菌
です。特に溶連菌感染症では適切な抗菌薬治療が必要で、放置すると合併症を起こすこともあります。
③ 扁桃周囲膿瘍
片側だけが非常に痛く、以下の症状があれば要注意です。
・飲み込めない
・よだれが出る(唾液も飲み込めないため)
・口が開けにくい(口を開く筋肉まで炎症が及ぶためです)
・声がこもる
膿がたまっている可能性があり、切開排膿や入院が必要になることもあります。
④ 上咽頭炎
耳鼻咽喉科でよく遭遇するものの、一般にはあまり知られていない病気です。
鼻とのどの境目(上咽頭)に炎症が起こる病気で、以下の症状が代表的です。
・のどの違和感
・飲み込むと痛い
・後鼻漏
・慢性的なのどの痛み
通常の口を開ける診察では見えないため、小さな鏡で反射させて観察するもしくは鼻から入れる内視鏡検査で観察して診断します。
⑤ アレルギー・後鼻漏
花粉症やアレルギー性鼻炎では、鼻水がのどへ流れる「後鼻漏」が起こります。
これが慢性的にのどを刺激し、以下の症状につながります。
・イガイガする
・のどが痛い
・咳払いが増える
⑥ 胃酸逆流(逆流性食道炎・咽喉頭逆流症)
胃酸がのどまで逆流すると、以下の症状が起きる可能性があります。
・朝だけ痛い
・声がかれる
・のどに何かある感じ
胸やけがない方でも起こることがあります。
⑦ 声の使い過ぎ
教師や保育士、営業職など声をよく使う方では、声帯に炎症が起こり、以下の症状が現れます。
・のどの痛み
・声がかすれる
症状別に考えられる病気
熱がある
・インフルエンザ
・新型コロナウイルス感染症
・急性咽頭炎
・扁桃炎
・溶連菌感染症
・ウイルス感染症
熱はないのにのどが痛い
・ウイルス感染
・アレルギー
・後鼻漏
・上咽頭炎
・胃酸逆流
・乾燥
・声帯炎
飲み込むと痛い
・扁桃炎
・上咽頭炎
・咽頭炎
・扁桃周囲膿瘍
片側だけ痛い
・扁桃周囲膿瘍
・扁桃炎
・咽頭異物
・まれに腫瘍
声がかれる
・急性喉頭炎
・声帯ポリープ
・声帯結節
・声帯麻痺
・咽喉頭逆流症
・まれに腫瘍
2週間以上声のかすれが続く場合は、声帯の詳しい検査をおすすめします。
自宅でできる対処法

症状が軽い場合には、次のような方法が有効です。
・水分をしっかり摂る
・部屋を加湿する(湿度40〜60%程度)
・十分な睡眠をとる
・のどを酷使しない
・禁煙する
・アルコールを控える
・必要に応じて鎮痛薬を使用する
一方で、自己判断で抗菌薬を飲むことはおすすめできません。ウイルス感染には抗菌薬は効果がなく、不必要な使用は耐性菌の原因にもなります。
このような症状は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう
次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
・高熱が続く
・飲み込めないほど痛い
・水分も飲めない
・息苦しい
・よだれが出る
・口が開けにくい
・片側だけ強く痛む
・首が大きく腫れている
・1週間以上改善しない
・声のかすれが2週間以上続く
これらの症状は、扁桃周囲膿瘍や喉頭蓋炎、深頸部感染症、悪性腫瘍など、早急な治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
耳鼻咽喉科ではどのような検査をするの?
耳鼻咽喉科では原因に応じて次のような検査を行います。
・のどや扁桃の診察
・鼻の診察
・鼻咽腔・喉頭ファイバースコープ(内視鏡検査)
・頸部超音波(エコー)検査
・溶連菌迅速検査
・新型コロナウイルスやインフルエンザなどのウイルス迅速検査
・多項目同時検査(スポットファイア)
・必要に応じて血液検査
特に内視鏡検査では、口から見えない上咽頭や喉頭、声帯まで観察できるため、「原因がわからないのどの痛み」の診断に非常に有用です。
よくある質問(Q&A)
Q. のどが痛いときは内科と耳鼻科、どちらを受診すればよいですか?
強いのどの痛み、飲み込みづらさ、声のかすれ、繰り返す症状がある場合は耳鼻咽喉科がおすすめです。耳だけでなく、鼻・のど・声帯まで詳しく診察できます。必要に応じてファイバースコープで確認し、緊急性の高い疾患でないかなど確認することができます。
Q. 市販薬だけで様子を見ても大丈夫ですか?
軽い風邪であれば改善することもありますが、高熱や強い痛み、飲み込みづらさ、症状が長引く場合は受診をおすすめします。
Q. のどが痛いときにうがいは効果がありますか?
水うがいはのどの衛生を保ち、乾燥を防ぐのに役立ちます。ただし、症状を根本的に治すものではないため、痛みが続く場合は原因を調べることが大切です。うがい薬によっては炎症を抑える作用があるものもあります。
まとめ
「のどが痛い」という症状は風邪だけでなく、細菌感染、上咽頭炎、アレルギー、胃酸逆流、声帯の病気など、さまざまな原因で起こります。
特に「熱がないのにのどが痛い」「飲み込むと痛い」「片側だけ痛い」「何度も繰り返す」「市販薬で改善しない」といった症状は、耳鼻咽喉科で詳しく調べることで原因が明らかになることが少なくありません。
耳鼻咽喉科では、鼻・のど・声帯まで総合的に診察し、必要に応じて内視鏡検査や迅速検査、頸部超音波検査などを組み合わせることで、症状の原因をできる限り正確に診断し、一人ひとりに適した治療をご提案します。
「のどの痛みだから風邪だろう」と自己判断せず、症状が強い場合や長引く場合は、お気軽に耳鼻咽喉科へご相談ください。
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耳鳴りでお悩みの方へ|原因・検査・治療法を耳鼻咽喉科専門医がわかりやすく解説

「キーン」「ジー」という耳鳴りは病気のサイン?
「静かな場所で耳鳴りが気になる」
「キーンという高い音がずっと続く」
「最近、片耳だけ耳鳴りがする」
「耳鳴りに加えて聞こえも悪くなった」
このような症状でお困りではありませんか?
耳鳴りは誰でも一度は経験する症状ですが、長く続く場合や難聴・めまいを伴う場合には、耳の病気が隠れていることがあります。実際に日本では、人口の約10~15%が慢性的な耳鳴りを経験しているとされ、加齢とともに増加します。また、生活に支障をきたすほど強い耳鳴りは約2~3%の方にみられると報告されています。耳鳴りは「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。原因を調べ、適切な治療や対処法を行うことで症状が軽減する方も少なくありません。
耳鳴りとは?
耳鳴りとは、実際には音が出ていないのに音が聞こえる状態です。
代表的には、、、
「キーン」
「ジー」
「シーン」
「ゴー」
「ブーン」
「ピー」
など様々な音として感じます。
耳鳴りには2種類あります
① 自覚的耳鳴り(ほとんどがこれ)
本人だけが聞こえる耳鳴りです。約95%以上を占め、難聴や加齢、ストレスなどが関係しています。
② 他覚的耳鳴り
非常に稀ですが、他者(医師・看護師など)も聴診器などで確認できる耳鳴りです。
原因として、
・血流の異常
・筋肉のけいれん
・血管の病気
などがあります。
特にドクンドクンと脈に一致する耳鳴り(拍動性耳鳴)では、血管疾患が隠れていることがあり、詳しい検査が必要になります。
耳鳴りの原因
耳鳴りは一つの病気ではなく、「症状」です。様々な原因によって起こります。
①加齢による難聴(老人性難聴)
最も多い原因です。
年齢とともに内耳の細胞が減少すると、聞こえにくさとともに耳鳴りを感じやすくなります。
高音域から聞こえにくくなることが特徴です。
② 突発性難聴
ある日突然、下記のような症状が起こります。
「耳が聞こえない」
「耳が詰まる」
「強い耳鳴り」
発症から早期(できれば1週間以内、遅くとも2週間以内)の治療開始が予後を左右するため、緊急性の高い疾患です。自己判断で様子をみないように耳鼻科へ相談しましょう。
③ メニエール病
内耳にリンパ液がたまる病気です。
特徴は、耳鳴り・難聴・めまいを繰り返すことです。
④ 騒音性難聴
ライブ、コンサート、工事現場、工場、イヤホンの大音量などで内耳が障害されることがあり、これらが原因で症状が出てきます。
若い世代でも非常に増えています(ヘッドホン難聴、イヤホン難聴などと言われることもあります)。
⑤ 耳垢栓塞
耳垢が完全に詰まると、耳鳴り・耳閉感・難聴を起こすことがあります。耳垢を除去するだけで改善することもあります。但し、ご自宅での除去は外耳道や鼓膜を傷つける可能性があるため危険ですので、耳鼻科へご相談ください。
⑥ ストレス・睡眠不足
ストレスや疲労が続くと、耳鳴りそのものが悪化するだけではなく、「耳鳴りが気になる脳」の働きが強くなることが知られています。つまり、耳鳴りの音そのものよりも、「脳が耳鳴りを意識し続ける状態」が症状を悪化させます。
⑦ 聴神経腫瘍
片耳だけの難聴や耳鳴りでは、まれに聴神経腫瘍が見つかることがあります。必要に応じてMRI検査を行います。
耳鳴りはなぜ起こるの?

近年では、耳鳴りは耳だけではなく「脳」で感じている症状と考えられています。難聴になると、耳から脳へ送られる音の情報が減少します。すると脳は不足した音(特定の周波数の音)を補おうとして、神経活動を過剰に高めます。その結果、存在しない音を作り出してしまうと考えられています。これを中枢ゲイン仮説(Central Gain Theory)と呼びます。現在、この考え方が耳鳴り研究の中心となっています。
耳鳴りで病院を受診すべき症状
次の場合は早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
・突然耳鳴りが始まった
・聞こえが悪い
・片耳だけの耳鳴り
・めまいがある
・耳が詰まる
・拍動する耳鳴り
・数週間以上続く
・日常生活に支障がある
耳鼻咽喉科で行う検査

耳鳴りの原因を調べるために、以下の診察・検査を行います。
・耳の診察
耳垢や鼓膜の異常を確認します。
・聴力検査
最も重要な検査です。難聴の有無や種類を評価します。
・ティンパノメトリー
鼓膜と中耳の状態を調べます。
必要に応じて、語音聴力検査、耳音響放射(OAE)、ABR(聴性脳幹反応)、MRI、血液検査などを追加します。クリニックではできない検査もあり、その場合は総合病院をご紹介いたします。
耳鳴りの治療
① 原因疾患の治療
最も重要です。例えば、突発性難聴、中耳炎、耳垢、メニエール病などは原因を治療します。原因が治れば耳鳴りも軽減・消失が期待できます。
② 補聴器
難聴がある患者さんでは、補聴器により耳鳴りが改善することが多く報告されています。音が脳へ十分に入ることで、耳鳴りの感じ方が軽減します。近年は耳鳴り診療ガイドラインでも推奨度の高い治療となっています。
③ TRT(Tinnitus Retraining Therapy; 耳鳴順応療法)
耳鳴りを完全に消すことではなく、「気にならない状態」にする治療です。音響療法とカウンセリングを組み合わせます。
④ 認知行動療法(CBT)
近年最もエビデンスが蓄積されている治療の一つです。耳鳴りに対する不安や恐怖を軽減し、生活への影響を減らします。
⑤ 睡眠・ストレス対策
耳鳴りは、睡眠不足、不安、疲労で悪化します。
十分な睡眠やストレスコントロールは治療の一部です。
自宅でできる耳鳴り対策

以下の方法が症状の軽減につながることがあります。
・静かすぎる環境を避ける
・ヒーリング音楽や自然音を流す
・十分な睡眠
・適度な運動
・カフェイン・アルコールの摂り過ぎに注意
・禁煙
・イヤホンの大音量を避ける
「完全な静寂」は耳鳴りをかえって意識しやすくするため、就寝時に小さな環境音(川のせせらぎや雨音など)を流すことが役立つ場合があります。耳鳴りよりもやや小さめな音にしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 耳鳴りは治りますか?
原因によります。耳垢や中耳炎など治療可能な原因であれば改善や治癒が期待できます。一方、慢性的な耳鳴りでも適切な治療により「気にならない状態」まで軽減できることは少なくありません。
Q. ストレスだけで耳鳴りになりますか?
ストレスのみが原因というよりも、ストレスが耳鳴りを悪化・持続させる要因となります。睡眠不足や疲労も関与します。
Q. サプリメントは効果がありますか?
ビタミン剤、亜鉛などが用いられることがありますが、現時点では慢性耳鳴りに対する有効性を裏付ける十分なエビデンスはありません。自己判断で継続する前に耳鼻咽喉科で相談しましょう。
Q. 耳鳴りがあると脳の病気でしょうか?
ほとんどは耳や聴覚系の問題ですが、片側のみの耳鳴りや拍動性耳鳴り、神経症状を伴う場合にはMRIなどで精査が必要になることがあります。
まとめ
耳鳴りは多くの方が経験する症状ですが、その背景には難聴、突発性難聴、メニエール病、耳垢、ストレス、まれな腫瘍などさまざまな原因があります。特に、「急に始まった耳鳴り」「片耳だけの耳鳴り」「難聴やめまいを伴う耳鳴り」「脈に合わせて聞こえる耳鳴り」は、早めの受診が重要です。
耳鼻咽喉科では、耳の診察や聴力検査を行い、原因を明らかにしたうえで、一人ひとりに適した治療をご提案します。慢性的な耳鳴りでも、補聴器や耳鳴順応療法(TRT)、認知行動療法(CBT)などを組み合わせることで、生活の質(QOL)の改善が期待できます。
耳鳴りを「年齢のせい」とあきらめず、気になる症状が続く場合は、お早めにお近くの耳鼻咽喉科へご相談ください。
参考文献
耳鳴診療ガイドライン 2019 日本耳鼻咽喉科学会・日本聴覚医学会 編.
American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery. Clinical Practice Guideline: Tinnitus. Otolaryngol Head Neck Surg. 2014.
European Federation of Audiology Societies. European guideline for tinnitus. HNO. 2019.
Pawel J. Jastreboff. Phantom auditory perception (tinnitus): mechanisms and management. Neurosci Res. 1990.
Deborah A. Hall wt al. Lancet.
耳鳴り診療に関するレビュー 2024.
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【耳鼻咽喉科専門医が解説】鼻づまりの原因・治療・自宅でできる対策|片側だけ詰まる場合は要注意!

「鼻が詰まって息がしづらい」
「口呼吸になって寝苦しい」
「市販の点鼻薬が手放せない」
鼻づまり(鼻閉)は、多くの方が経験する症状ですが、「ただの鼻風邪」と思って放置してしまう方も少なくありません。しかし、鼻づまりの原因はアレルギー性鼻炎だけではなく、副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症、鼻茸(ポリープ)、さらには稀ではありますが腫瘍などが隠れていることもあります。
特に長期間続く鼻づまりや片側だけの鼻づまりは、一度耳鼻咽喉科で詳しく調べることをおすすめします❗️
今回は耳鼻咽喉科専門医の立場から、鼻づまりの原因、治療法、自宅でできる対策について分かりやすく解説します。
<鼻づまりとは?>
鼻づまりとは、空気の通り道である鼻腔(びくう)が狭くなり、十分に空気が通らなくなった状態です。鼻づまりは単なる不快な症状ではありません。
鼻呼吸ができなくなることで
・睡眠の質が低下する
・集中力が落ちる
・いびきが増える
・睡眠時無呼吸症候群が悪化する
・子どもの場合は口呼吸による歯並びや顔面発育への影響
など、全身へさまざまな影響を及ぼします。
<鼻づまりの主な原因>
① アレルギー性鼻炎(最も多い原因)
花粉症やダニ・ハウスダストなどのアレルギーによって鼻粘膜が腫れ、鼻水も増えるため鼻が詰まります。
特徴:
・両側の鼻づまり
・透明な鼻水
・くしゃみ
・鼻のかゆみ/目のかゆみ
・季節性(スギ花粉などの季節のみ)または一年中続く
重症になると「鼻水より鼻づまり」が主症状になることも少なくありません。
アレルギー性鼻炎(アレルギー性鼻炎)について詳しくはこちらのページをご参照ください
② 急性・慢性副鼻腔炎
副鼻腔に炎症が起こる病気です。粘膜が腫れたり、膿がたまることで鼻づまりが起こります。
特徴:
・黄色や緑色の鼻水
・頬や額の痛み
・後鼻漏
・においが分かりにくい
・風邪のあとから悪化することが多い
慢性化すると数か月以上続くことがあります。
急性・慢性副鼻腔炎について詳しくはこちらのページをご参照ください
③ 鼻中隔弯曲症
鼻の左右を分ける壁(鼻中隔)が曲がっている状態です。
成人では非常に多く見られますが、軽度なら問題ありません。しかし、強く曲がると慢性的な鼻づまりの原因になります。
特徴:
・常に片側が詰まる
・寝る向きで悪化する
・鼻血が出やすい
薬では改善しにくく、重症例では手術が根本治療になります。
④ 下鼻甲介腫脹(肥厚性鼻炎)
鼻の中にある「下鼻甲介」が慢性的に腫れてしまう病気です。
アレルギー性鼻炎を長く繰り返す方によくみられます。粘膜そのものが厚くなっているため、薬だけでは十分改善しないことがあります。
⑤ 鼻茸(鼻ポリープ)
慢性副鼻腔炎・好酸球性副鼻腔炎などで鼻の中にできる、粘膜が腫れてしまってできてします組織です。大きくなると空気の通り道をふさいでしまいます。
特徴:
・鼻づまり
・嗅覚低下
・後鼻漏
・鼻声
大きなポリープでは手術が必要になることがあります。
⑥ 鼻の腫瘍(まれですが重要)
頻度は高くありませんが、良性腫瘍・悪性腫瘍でも鼻づまりが起こります。
注意する症状:
・片側だけ詰まる
・鼻血を繰り返す
・顔面の痛み
・頬が腫れる
このような場合は早めの受診が必要です。
<鼻づまりの検査>

耳鼻咽喉科では以下のような検査を行います。
・鼻内視鏡検査
細いカメラで鼻の奥まで観察し、鼻中隔弯曲・ポリープ・副鼻腔炎・腫瘍の有無を評価します。
・CT検査
当院はCTを完備しており、副鼻腔炎や鼻中隔弯曲、ポリープの広がりを詳しく確認できます。手術が必要かどうかの判断にも重要です。
・アレルギー検査
血液検査、特異的IgE検査、鼻汁好酸球検査などで原因を調べます。
特に当院では指先1滴で41項目のアレルゲンをチェックできる検査も行っております。
<鼻づまりの治療>
原因によって治療法は異なります。
薬物療法
・ステロイド点鼻薬
現在の鼻づまり治療の中心です。粘膜の炎症を抑え、アレルギー、慢性副鼻腔炎、鼻茸にも効果があります。即効性はありませんが、毎日継続することで高い効果が期待できます。
・抗ヒスタミン薬
くしゃみ・鼻水に有効ですが、鼻づまりへの効果はステロイド点鼻薬ほど強くありません。最近は眠気の少ない薬も増えています。
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
鼻づまりが強いアレルギー性鼻炎では有効なことがあります。喘息を合併している患者さんにもよく使用されます。
・漢方薬
体質によっては、葛根湯加川芎辛夷・辛夷清肺湯などが有効なことがあります。
・舌下免疫療法
現時点で(2026年7月時点)、日本においてはスギ花粉症とダニアレルギーによる鼻症状の場合は適応があります。
・抗IgE抗体療法(ゾレア®︎)
重症/最重症のスギ花粉症に対して適応がある治療で、非常に効果的です。
抗IgE抗体療法について詳しくはこちらのページをご参照ください
手術治療
薬で改善しない場合は手術を検討します。
代表的には、
・鼻中隔矯正術
・下鼻甲介手術
・粘膜焼灼術
・内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
などがあります。
当クリニックでは、炭酸ガスレーザーを用いた鼻粘膜焼灼術も積極的に行っております。
<自宅でできる鼻づまり対策>

① 鼻洗浄
生理食塩水による鼻洗浄は非常におすすめです。
期待できる効果:花粉除去、アレルゲン除去、鼻汁除去、粘膜機能改善
毎日のケアとしても安全性が高い方法です。
②部屋の加湿
乾燥すると鼻粘膜が腫れやすくなります。湿度40〜60%程度を目安に保つと快適です。加湿器は定期的に清掃し、カビや細菌の繁殖を防ぐことも重要です。
③ 睡眠時は少し頭を高くする
横になると鼻の血流が増えて鼻づまりが悪化します。頭の方を少し高くするだけでも改善する方がいます。
(注)小さな子供は、枕だけを高くするのは注意しましょう。首が折れ曲がってかえって息苦しくなることがあります。傾斜をつけるようにして頭を高くしてあげましょう。
④ アレルゲン対策
ダニ・ハウスダスト対策として以下のことも重要です。
・寝具を洗う
・掃除機をかける
・空気清浄機を使用する
花粉症では帰宅後の洗顔・うがい・着替えも効果的です。
⑤ 市販の点鼻薬の使いすぎに注意

血管収縮薬入り点鼻薬は一時的には非常によく効きます。しかし、長期間使用すると薬剤性鼻炎になり、
「点鼻薬を使わないと全く鼻が通らない」
という状態になります(当院にも多数の薬剤性鼻炎になってしまった方が来院されており、思った以上に多い印象があります)。
一般的には7日以上の連続使用は避けることが推奨されています。慢性的な鼻づまりがある場合は、市販薬で我慢するのではなく耳鼻咽喉科を受診しましょう。
<このような場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう>
次のような症状がある場合は、自己判断せず受診をおすすめします。
・鼻づまりが2週間以上続く
・片側だけ鼻が詰まる
・鼻血を繰り返す
・においが分からない
・黄色い鼻水が長く続く
・顔面痛や頭痛がある
・いびきや睡眠時無呼吸を指摘された
・市販薬で改善しない
・市販の点鼻薬をやめられない
鼻づまりは「症状」ではなく、「原因」を見極めることが最も重要です。
耳鼻咽喉科では、鼻内視鏡や必要に応じた画像検査・アレルギー検査を組み合わせて、鼻づまりの本当の原因を診断します。その結果に応じて、薬物療法だけでなく、鼻洗浄の指導やアレルゲン対策、手術療法まで含めた総合的な治療を提案できます。特に、片側だけの鼻づまり、長引く鼻づまり、嗅覚低下を伴う鼻づまりは、アレルギー性鼻炎以外の病気が隠れていることもあるため、早めの受診が大切です。
<最後に…>
鼻づまりは、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎だけでなく、鼻中隔弯曲症や鼻茸、まれには腫瘍など、さまざまな原因で起こります。症状が長引く場合や片側だけに起こる場合は、早めに耳鼻咽喉科で原因を調べることが重要です。
適切な診断を受けることで、薬物療法や手術療法、自宅でのセルフケアを組み合わせ、一人ひとりに合った治療を行うことができます。鼻呼吸を取り戻すことは、睡眠の質や日中の集中力、生活の質(QOL)の改善にもつながります。「鼻づまりくらい」と我慢せず、気になる症状が続く場合はぜひ耳鼻咽喉科へご相談ください。
<参考文献>
鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版.
慢性副鼻腔炎診療ガイドライン.
American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery. Clinical Practice Guideline: Allergic Rhinitis. Otolaryngol Head Neck Surg. 2015.
European Position Paper on Rhinosinusitis and Nasal Polyps. Rhinology. 2020.
Allergic Rhinitis and its Impact on Asthma. Updated international recommendations for allergic rhinitis management.
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当院でのニキビ治療に、新たな選択肢としてスピロノラクトン内服を開始しました。
(自費診療となります)
今回はそのスピロノラクトン内服治療についてまとめました。
ホルモンバランスが関係するニキビに効果が期待できます
スピロノラクトンは、もともとは血圧やむくみの治療に使用されているお薬ですが、女性では男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを穏やかに抑える作用があるため、「大人ニキビ」の治療にも広く使用されています。
特に次のような方に効果が期待できます。

治療の流れ
通常は少ない量から開始し、状態を確認しながら必要に応じて増量します。
価格
※自費診療となります。別途、診察料(初診料2,200円、再診療550円)や採血検査料1,650円がかかります。
効果が現れるまで
この薬はゆっくり効いてくる薬です。
そのため、すぐに効果が出なくても自己判断で中止せず、継続することが大切です。
継続期間は?
「○か月で必ず終了」という薬ではありません。
一般的には、
という流れになります。
急に中止するとニキビが再発することがあるため、少しずつ減量します。
副作用について
比較的安全なお薬ですが、次のような副作用がみられることがあります。
まれですが注意が必要な副作用
必要に応じて血液検査を行い、フォローしていきます。
この薬を飲めない方
次の方は服用できない、または慎重な判断が必要です。
服用中のお薬がある場合は、必ず医師へお知らせください。
治療中のお願い
よくある質問
Q. すぐに効きますか?
A. 効果が出るまで通常2~3か月程度かかります。
Q. ニキビが治ったらやめてもいいですか?
A. 良くなってすぐに中止すると再発することがあります。状態をみながら徐々に減量し、中止を目指します。
Q. 他のニキビ治療も必要ですか?
A. はい。外用薬(塗り薬)やスキンケアを併用することで、より良い治療効果と再発予防が期待できます。
Drからのメッセージ
スピロノラクトンは、特に「大人の女性ニキビ」に対して高い効果が期待できる治療です。効果が現れるまでには少し時間がかかりますが、継続することでニキビのできにくい肌を目指すことができます。
保険の外用薬などを使用してもなかなか改善の見られない方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
· American Academy of Dermatology. Acne clinical guidelines.
· American Academy of Dermatology. Guidelines of care for the management of acne vulgaris (2024 update).
· BMJ. SAFA Trial(2023):成人女性ニキビに対するスピロノラクトンの有効性を示したランダム化比較試験
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【耳鼻咽喉科専門医が解説】うがいは本当に効果がある?水・イソジン・アズノールの違いを医学的エビデンスから解説
「うがい」は本当に効果があるのでしょうか?
風邪が流行する季節や、のどの痛みを感じたとき、多くの方が「うがい」を行っていると思います。
また、以下のように疑問に思われる方も少なくありません。
「水で十分?」
「イソジンでうがいした方が効く?」
「アズノールはどんな時に使うの?」
「そもそもうがいって意味があるの?」
耳鼻咽喉科では頻繁に患者さんから質問を受けますが、実はうがいの目的によって適した方法は異なります。
今回は、医学論文に基づいて「うがい」の効果を分かりやすく解説します。
<うがいには2つの目的があります>
「うがい」と一言で言っても、大きく分けると目的は2つあります。
① 風邪や感染症を予防する
② のどの炎症や痛みを和らげる
この2つは全く別の目的であり、それぞれエビデンスも異なります。
① 風邪や感染を予防する
風邪予防には「水うがい」が最もエビデンスがあります
「風邪予防ならイソジンが一番効く」と思われている方は多いのですが、実はそうとは言い切れません。
最も有名な研究は、Satomuraらが2005年に発表したランダム化比較試験です。
健康な成人を以下の3群に分けて約2か月間比較しました。
・「水うがい」群
・「ポビドンヨード(イソジン)うがい」群
・「うがいをしない」群
その結果、水うがいを行ったグループでは上気道感染(風邪)の発症率が有意(約60%)に低下しました。一方で、ポビドンヨードうがいは、水うがい以上の予防効果は認められませんでした。
つまり、「風邪予防」という目的では、水うがいだけでも十分な効果が期待できることが示されたのです。
子どもでも同じような結果が報告されています
2012年には、日本の保育園児約2万人を対象とした大規模研究が報告されました(当院のある福岡市でのデータです❗️)。うがいをすることで、「病欠」「発熱」にどのくらい影響がるかを評価したものになります。
うがいすることで、発熱が起きにくくなったとされています(うがいすると32%減)。
更に詳しく何でうがいしたかを見てみると、水道水(30%減)、機能性水(54%減)、緑茶(68%減)となっていました。
しかし、病欠に関しては、有意差と言えるデータは示せていないようです。
もちろん観察研究であるため因果関係を断定することはできませんが、うがいの有用性を支持するデータと言えるのではないのでしょうか(例え水道水であっとしても)。
なぜ水だけで効果があるのでしょうか?
うがいは「殺菌すること」が目的と思われがちですが、それだけではありません。
口やのどには、
・ウイルス(風邪の原因のほとんど)
・細菌
・花粉
・ホコリ
・炎症性物質
などが一時的に付着しています。水でうがいをすると、これらを物理的に洗い流すことができます。
さらに、唾液には分泌型IgA(s-IgA)という免疫物質が含まれており、病原体が粘膜へ付着することを防ぐ働きをしています。
口やのどの粘膜免疫を保つことも、感染予防には重要なのです。
イソジンうがいは意味がないのでしょうか?
決してそうではありません。
イソジン(ポビドンヨード)は非常に強い殺菌作用・抗ウイルス作用を持っています。試験管内では多くの細菌やウイルスを短時間で不活化できることが知られています。
しかし、「風邪を予防できるか」という臨床試験では、水うがいを上回る効果は証明されていません。
また、ポビドンヨードは長期間・頻回に使用すると、
・ヨウ素の吸収
・甲状腺への影響
・妊娠中・授乳中への注意
などもあるため、予防目的で毎日使い続けることは一般的には勧められていません。
使用する場合は、短期間(数日)にしましょう❗️
② のどの炎症や痛みを和らげる
のどが痛い時のうがいは目的が異なります
ここが最も大切なポイントです。風邪予防と、「のどが痛い」「炎症を抑えたい」は全く違います。
この場合は、抗炎症作用を期待してアズノールなどの含嗽薬を使用することがあります。
アズノールうがいの効果は?
アズノール(アズレンスルホン酸ナトリウム)は、以下の作用を持つ薬です。
・抗炎症作用
・粘膜保護作用
・創傷治癒促進作用
耳鼻咽喉科や歯科口腔外科では昔から広く使用されています。
動物実験では、咽頭の炎症や血管透過性を抑制することが報告されています。
さらに、気管挿管後の咽頭痛を対象としたランダム化比較試験では、アズノールうがいを行った患者さんは、水うがいよりも咽頭痛が有意に少ないことが示されています。
また、抗がん剤治療や放射線治療による口腔粘膜炎に対しても、疼痛や炎症を軽減する報告があります。実際に、私自身が勤務医時代にも頭頸部癌患者さんの癌治療中にも頻繁に用いていました。一方で、一般的な風邪による急性咽頭炎に対して、アズノールの効果を直接証明した質の高い臨床試験はまだ多くありません。つまり、現在は基礎研究や類似病態での臨床研究を背景として使用されている薬と言えます。
尚、当院ではアズノールうがい液のみならずハチアズレ顆粒も処方しております。いずれも、主成分はアズレンスルホン酸ナトリウム水和物で剤形の違いになります。
<水・イソジン・アズノールの使い分け(まとめ)>
それぞれには得意分野及び注意点があります。
| 項目 | 水うがい | アズノールうがい | イソジンうがい |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 感染予防・洗浄 | 炎症・痛み軽減 | 殺菌・消毒 |
| 主な作用 | ウイルス/細菌/花粉/刺激物を物理的に洗い流す | 抗炎症作用 粘膜保護作用 創創治癒促進作用 | 殺菌/抗ウイルス作用 |
| 風邪予防のビデンス | ★★★★★ | ★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ ※水うがい以上の効果の証明はない |
| のどへの抗炎症効果 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
| のどの鎮痛効果 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ ※術後咽頭痛などに対して | ★★☆☆☆ |
| 口内炎への効果 | ★☆☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ |
| 殺菌作用 | ☆☆☆☆☆ 物理的洗浄効果のみ | ★☆☆☆☆ 弱い | ★★★★★ 非常に強い |
| うがい時の刺激性 | ほとんど無い | 少ない | ややある |
| 毎日使用 | ◎ | ◯ 咽頭痛などの症状がある間の使用 | △ 長期間の使用は推奨できません |
| 妊娠・授乳中 | ◎ | ◯ | △ 長期間の使用は推奨できません |
| 甲状腺疾患 | ◎ | ◎ | △ ヨウ素の吸入に注意 |
| アレルギー | ほぼなし | まれ | ヨードアレルギーには禁忌 |
| 費用 | 最も安価 | 比較的安価 | 比較的安価 |
| 適している場面 | 帰宅時、風邪予防、花粉除去など | のどの痛み、咽頭炎、口内炎、術後 | 細菌感染が疑われる時のみ、短期間で |
※個人的な見解も含まれておりますのでご了承ください
いずれにしても目的やご自身の体調に合わせて選ぶことが大切です。
<耳鼻咽喉科専門医としてのメッセージ>
うがいは昔から行われている習慣ですが、現在では医学的にも一定の効果が証明されています。
特に、風邪予防には「水うがい」が最もエビデンスがあります。
一方で、のどが痛い時には、アズノールなどの抗炎症作用を持つ含嗽薬が症状緩和に役立つことがあります。
「うがい薬なら何でも同じ」ではなく、目的に応じてうがいを使い分けることが大切です。
| 状況 | オススメ |
|---|---|
| 毎日の風邪予防 | 水うがい◎ |
| 帰宅後・花粉症シーズン | 水うがい◎ |
| 喉が痛い・喉がヒリヒリする | アズノール◎ |
| 口内炎が痛い | アズノール◯ |
| 長期間毎日続ける | 水うがい◎ |
| 細菌感染が疑われる場合 | イソジン◯ |
| 自己判断で毎日イソジン | 推奨されません× |
風邪症状やのどの痛みが続く場合、高熱がある場合、飲み込みにくいほど強い痛みがある場合は、細菌感染(扁桃炎・扁桃周囲膿瘍)などの可能性もあります。自己判断だけで様子を見ず、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
参考文献
・Satomura K, et al. Am J Prev Med. 2005.
・Noda T, et al. J Epidemiol. 2012.
・Brandtzaeg P. J Oral Microbiol. 2013.
・Marcotte H, Lavoie MC. Microbiol Mol Biol Rev. 1998.
・Ogata J, et al. Anesth Analg. 2005.
・Sakai H, Misawa M. Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2005.
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「雨が降る前になるとめまいがする」
「台風が近づくと耳鳴りがひどくなる」
「天気が悪くなると耳が詰まった感じがする」
このような症状はありませんか?
最近では「気象病(きしょうびょう)」や「天気痛」という言葉を耳にする機会が増えました。「気象病」という言葉は広く使われていますが、実は正式な病名ではありません。医学的には、「天候や気圧などの環境変化をきっかけとして、さまざまな症状が現れる状態」をまとめて表現した言葉です。つまり、気象病そのものが一つの病気なのではなく、様々な病気や体質が背景にあり、その症状が天候によって悪化している場合も少なくありません。
実は耳鼻咽喉科では、このような患者さんは珍しくありません。特に、めまい・耳鳴り・耳閉感(耳が詰まった感じ)は、気圧の変化と深く関係していることがわかってきています。
最近は梅雨入りし、台風も近づくこともあったため、体調不良を訴えて当院へ受診されている方も多いです。
今回は、耳鼻咽喉科専門医の立場から、気象病について、気象病と耳との関係・治療法、受診の目安等について簡単に説明いたします。
<気象病とは?>
気象病とは、気圧や気温、湿度などの天候変化によって起こる体調不良の総称です。
代表的なきっかけは
・台風
・梅雨
・秋雨
・急激な気温変化
・低気圧
などです。
症状は人によってさまざまで、
・めまい
・耳鳴り
・耳の詰まり感
・頭痛
・首や肩のこり
・倦怠感
・吐き気
などがみられます。
耳鼻咽喉科では、特に「めまい」「耳鳴り」「難聴」「耳閉感」を主訴に受診される患者さんが多くいらっしゃいます。
気象病は、「内科では?」「整形外科では?」と思われる方もいらっしゃいます。もちろん、症状によって受診した方が良い診療科は変わってきますが、上記のような症状がある場合は耳鼻咽喉科が最も重要な診療科の一つになります。
<なぜ天気で耳の症状が起こるのでしょうか?>
近年の研究では、「内耳」が気圧変化を感じるセンサーとして働いている可能性が示されています。
内耳は、
・音を聞く(蝸牛)
・バランスを取る(前庭)
という非常に重要な役割を担っています。
この内耳が気圧変化を感知すると、その情報が脳へ伝わり、自律神経にも影響を及ぼすと考えられています。
その結果、
・めまい
・耳鳴り
・耳閉感
・頭痛
などが出現すると考えられています。
現在では、動物実験において内耳に気圧感受機構(気圧センサー)が存在する可能性が示されており、TRPV1・TRPV4というイオンチャネルが関与する可能性も報告されています。
<気象病で耳鼻科に多い症状>
① めまい
比較的多い症状です。
・フワフワする
・地面が揺れる
・グルグル回る
・頭が重い
など、人によって症状はさまざまです。
特にメニエール病や前庭性片頭痛では、低気圧で症状が悪化する患者さんが少なくありません。
② 耳鳴り
「キーン」「ジー」「ゴー」といった耳鳴りが低気圧で悪化する方もいます。
天候が回復すると自然に軽くなることもあります。
③ 耳閉感(耳が詰まった感じ)
飛行機に乗った時のような「耳が詰まった感じ」を訴える患者さんも多くみられます。
耳管機能や内耳圧の変化が関係していると考えられています。
④ 難聴
気圧変化によって
・メニエール病
・急性低音障害型感音難聴
の症状が悪化することがあります。
聞こえが急に悪くなった場合は、単なる気象病と思い込まず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。
<気象病になりやすい人>
次のような方は気象病が起こりやすいとされています。
・女性
・20〜50代
・片頭痛がある
・メニエール病の既往がある
・睡眠不足
・ストレスが多い
・疲労が蓄積している
・自律神経が乱れやすい
気圧だけでなく、「疲れ」や「睡眠不足」が重なることで症状が強く出ることも少なくありません。
<気象病の治療>
残念ながら、気象病そのものを治す特効薬はありません。しかし、症状を軽減することは十分可能です。
① 規則正しい生活
もっとも重要なのは自律神経を整えることです。
・十分な睡眠
・朝日を浴びる
・適度な運動(軽いウォーキング)
・規則正しい食事
・水分補給
・長時間のスマートフォンやパソコン作業を控える
これらが基本になります。
「天気が悪くなる前日は早めに寝る」「疲れをためない」といった工夫だけでも、症状が軽くなる患者さんは少なくありません。
② 原因となる病気を治療する
気象病と思っていても、
・メニエール病
・良性発作性頭位めまい症
・前庭性片頭痛
・急性低音障害型感音難聴
などが隠れていることがあります。
耳鼻咽喉科では、聴力検査や平衡機能検査などを行い、原因を調べますので、近くの耳鼻咽喉科へお気軽にご相談ください。
③ 薬物療法
症状に応じて
・抗めまい薬
・漢方薬(五苓散、苓桂朮甘湯など)
・制吐薬
・偏頭痛治療薬
などを使用することがあります。患者さんごとに最適な治療法は異なります。
<気象病と思っても早めに受診すべき症状>
次の症状がある場合は、気象病だけではない可能性があります。
・強い回転性めまい
・突然聞こえが悪くなった
・激しい耳鳴り
・顔や手足のしびれ(注意)
・ろれつが回らない(注意)
・激しい頭痛(注意)
・意識障害(注意)
これらは脳卒中や突発性難聴など緊急性の高い病気の可能性があるため、早めに医療機関への受診が必要です。特に「(注意)」としている症状は急いで救急病院へ受診しましょう。
<よくある質問(Q&A)>
Q. 気象病は耳鼻科で診てもらえますか?
はい。
めまい、耳鳴り、耳閉感、難聴がある場合は、耳鼻咽喉科が最も適した診療科の一つです。
Q. 気象病は治りますか?
完全に治るとは言えませんが、生活習慣の改善や適切な治療によって症状を軽減できる方は多くいます。
Q. 雨の日だけ症状が出ます。
症状日記や気圧アプリを活用し、天候との関連を記録すると診断や治療に役立ちます。
<最後に…>
気象病は決して「気のせい」ではありません。一方で、すべての症状を気象病だけで説明できるわけではありません。
特に、繰り返すめまい、耳鳴り、耳閉感、難聴がある場合には、メニエール病や急性低音障害型感音難聴など、治療が必要な病気が隠れていることがあります。
「天気が悪くなると毎回調子が悪い」と感じる方は、一度耳鼻咽喉科で相談してみることをおすすめします。
早めに原因を調べることで、症状を軽くし、日常生活の質を改善できる可能性があります。
<引用文献・参考文献>
Sato T, et al. Auris Nasus Larynx. 2020.
Yamamoto Y, et al. Journal of Vestibular Research. 2019.
めまいの診断・治療ガイドライン 2024
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→フォトフェイシャルやレーザートーニングといった美肌治療との組み合わせがおすすめ🫶

②「ダイヴ コンセントレートセラム」
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③「ダイヴ サインズセラム」
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いびきは放置しないでください!
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・検査・CPAP治療を耳鼻咽喉科専門医がわかりやすく解説
「いびき」は体からのSOSかもしれません
「いびきくらいなら大丈夫」と思っていませんか?
実は、いびきは睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)という病気のサインであることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まることで、十分な睡眠がとれなくなる病気です。放置すると、高血圧や心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など全身の病気につながることが知られています。
さらに、小児では成長や集中力、学習にも影響を及ぼす可能性があります。
2026年の診療報酬改定では、CPAP治療の保険適応が拡大され、これまでより早い段階から治療を開始できるようになりました。
当院では、
・耳鼻咽喉科専門医による診察
・自宅でできる睡眠検査(簡易PSG)
・CPAP治療
・鼻づまり・扁桃肥大など原因に対する治療
まで一貫して行っています。
「いびきセルフチェックリスト」
□ 毎日いびきをかく
□ 家族から「呼吸が止まっている」と言われた
□ 朝起きても疲れが取れない
□ 寝ているのに体がだるい
□ 日中眠くなる
□ 高血圧や糖尿病がある
□ 肥満傾向を指摘された
□ 夜間に2回以上トイレに起きることがある
□ 子どものいびきが気になる
□ あごが小さい
□ CPAPが必要か相談したい
1つでも当てはまる方はご相談ください。
<睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?>
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。
医学的には「10秒以上呼吸が止まる状態」を無呼吸と呼び、この状態が繰り返されることで睡眠の質が低下します。
その結果、
・朝起きても疲れが取れない
・日中の強い眠気
・集中力や仕事の効率の低下
・起床時の頭痛
などの症状が現れます。

睡眠時無呼吸症候群では、「AHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)」という数値で重症度を評価します。AHIとは、1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起こるかを示す指標です。
世界では中等症以上(AHI15以上)の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者は約4億2,500万人、日本でも約900〜1,000万人いると推定されており、決して珍しい病気ではありません。
睡眠時無呼吸症候群は「睡眠の病気」であると同時に、「全身の健康に関わる病気」でもあります。
<成人と子どもでは原因が異なります>
睡眠時無呼吸症候群は、大人と子どもでは原因が異なります。

成人で多い原因
・肥満
・鼻づまり
・加齢による筋力低下
・下あごが小さい
・飲酒
・睡眠薬
などが主な原因です。
特に鼻づまりがあると口呼吸になりやすく、いびきや無呼吸を悪化させます。
子どもで多い原因
・アデノイド肥大
・口蓋扁桃肥大
・アレルギー性鼻炎
・副鼻腔炎
が原因として多くなります。
「子どものいびきはかわいいから大丈夫」と思われがちですが、毎日のようにいびきをかく場合は、一度耳鼻咽喉科で相談することをおすすめします。
<放置すると全身の病気につながります>
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何度も酸素不足を繰り返します。すると、心臓や血管に負担がかかり、さまざまな病気のリスクが高まります。

成人において代表的なものは、
・高血圧
・心筋梗塞
・脳卒中
・糖尿病
・心房細動
・日中の眠気による交通事故
です。
また、小児では
・成長への影響
・集中力の低下
・学習や行動への影響
が報告されています。
「いびきだけだから」と放置せず、原因を調べることが大切です。
<耳鼻咽喉科だから「原因」まで調べられます>
睡眠時無呼吸症候群というと、「CPAPで治療する病気」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、耳鼻咽喉科では「なぜ無呼吸が起こっているのか」という原因を詳しく調べることができます。
例えば、
・アレルギー性鼻炎
・鼻中隔弯曲症
・下鼻甲介腫脹
・鼻茸(鼻ポリープ)
・アデノイド肥大
・口蓋扁桃肥大
など、耳鼻咽喉科で治療できる病気が隠れていることがあります。
これらを治療することで、いびきや無呼吸が改善したり、CPAPがより使いやすくなったりする場合もあります。
そのため、当院では睡眠検査だけでなく、「原因の診断」を大切にしています。
自宅でできる睡眠検査(簡易PSG)
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まず、ご自宅で行える簡易睡眠検査(簡易PSG)をご案内しています。
以前は入院して検査を受けることが一般的でしたが、現在では多くの方が普段と同じ睡眠環境で検査を受けることができます。
検査方法はとても簡単です。
① ご自宅へ検査機器が届く
② 就寝前にセンサーを装着する
③ 普段どおり眠る
④ 翌日に返送する
検査では、呼吸の状態、酸素濃度、いびきの有無、無呼吸・低呼吸の回数などを調べます。
普段どおり眠るだけで検査できるため、多くの患者さんが安心して受けられています。
精密睡眠検査(PSG)が必要になることもあります
簡易PSGで診断が難しい場合や、より詳しい評価が必要な場合には、病院で一泊して行う終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)をご案内します(当院では検査可能な施設をご紹介いたします)。
PSGでは、脳波、呼吸、心電図、筋電図、酸素飽和度、睡眠の深さ、寝返りや体位などを測定し、睡眠時無呼吸症候群をより正確に評価します。
<2026年診療報酬改定でCPAP治療の対象が広がりました>

2026年6月の診療報酬改定では、CPAP治療の保険適応が拡大されました❗️
これまでは
・精密PSG検査:AHI20以上
・簡易PSG検査:AHI40以上
が保険適応の目安でしたが、
現在は
・精密PSG検査:AHI15以上
・簡易PSG検査:AHI30以上
まで対象が広がっています。
これは、中等症の段階でも高血圧や心血管疾患、脳卒中などのリスクが高まることが多くの研究で示されてきたためです。
以前よりも早い段階から治療を開始できるようになり、健康へのメリットが期待されています。
<睡眠時無呼吸症候群の治療>
治療法は、原因や重症度に応じて選択します。
生活習慣の改善
軽症の方では、
・減量
・禁煙
・就寝前の飲酒を控える
などで症状が改善することがあります。
鼻づまりの治療
耳鼻咽喉科では、アレルギー性鼻炎や鼻中隔弯曲症、下鼻甲介腫脹など、鼻づまりの原因を治療します。
鼻づまりが改善すると、
・いびきが軽くなる
・CPAPが使いやすくなる
・睡眠の質が改善する
ことがあります。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)
中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群では、CPAPが第一選択となります。
マスクから空気を送り、気道が閉じるのを防ぐ治療です。
CPAPによって、
・いびきの改善
・日中の眠気の改善
・睡眠の質の改善
・血圧の改善
などが期待できます。
マウスピース(口腔内装置)
軽症から中等症では、歯科で作製するマウスピースが有効なことがあります。下あごを前方に保持することで、気道を広げます。当院では作成できませんので、歯科で作製をお願いすることになります。
手術
原因が鼻づまりや扁桃肥大、アデノイド肥大などの場合には、手術によって改善が期待できるケースがあります。
特に小児では、アデノイド・口蓋扁桃摘出術が有効なことが多くあります。
当院では手術を行なっておりませんので、手術をしている施設をご案内いたします。
<当院での診療の流れ>
① ご来院
② 耳鼻咽喉科専門医による診察
③ 鼻・のどの評価
(先に、鼻・のどの治療を優先するようにご案内することもございます)
④ 簡易PSG(ご自宅)
⑤ 結果説明
⑥ 原因に応じた治療
(生活習慣改善・鼻治療・CPAP・マウスピース・手術)
<最後に…>
睡眠時無呼吸症候群は、単なる「いびき」の問題ではなく、全身の健康に影響を及ぼす病気です。しかし、適切な検査と治療により、睡眠の質や日中の眠気、生活の質(QOL)の改善が期待できます。
耳鼻咽喉科では、睡眠検査だけでなく、鼻づまりや扁桃肥大など「原因」まで詳しく評価できることが大きな特徴です。
「いびきくらい」と思わず、気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
<参考文献>
Benjafield AV, Ayas NT, Eastwood PR, et al. Lancet Respir Med. 2019.
Peppard PE, Young T, Palta M, et al. N Engl J Med. 2000.
Marin JM, Carrizo SJ, Vicente E, et al. Lancet. 2005.
Yaggi HK, Concato J, Kernan WN, et al. N Engl J Med. 2005.
Marcus CL, Brooks LJ, Draper KA, et al. Pediatrics. 2012.
Kapur VK, Auckley DH, Chowdhuri S, et al. J Clin Sleep Med. 2017.
Patil SP, Ayappa IA, Caples SM, et al. J Clin Sleep Med. 2019.
日本睡眠学会. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会. 睡眠時呼吸障害診療の手引き
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